【芝居】「朝日のような夕日をつれて 2024」サードステージ
2024.8.12 19:00
2024.8.25 14:00
[CoRich]
鴻上尚史の代表作、10年ぶりの再演。キャストを一新し、ついに第三舞台時代からの役者なしの朝日。120分。9月1日まで紀伊國屋ホール。そのあと大阪。 (1, 2, 3)
劣勢の立花トーイの開発した新しい「おもちゃ」は、少しのストレスはかかるけれど絶対に自分を傷つけないAIたちがいるMR(Mixed Reality)の世界。再びみよこに会いたくて、男たちは暇つぶしをしながら待っている。
大量ではあるけれど無限ではないDNAの組み合わせが再びみよこに結実するのを待つために暇をつぶす男たち、ルービックキューブからコンピュータゲーム、ネットワークゲーム、VR。朝日という物語の骨子はそのままなのに間違いなくその時代の流行をきっちり取り込んでいく化け物のような一本。技術だけではなく、2.5次元演劇や大坂なおみ、SPY×FAMILYといったさまざまを取り込んでいます。誰もが同じ流行を知っているという時代ではないので、出てきた小ネタがすべてわかるかといわれれば怪しいけれど、圧倒的なセリフの量とほぼ全編走り抜けるような疾走感は、キャストが全面的に若返ってよりダイナミックに。とはいえ10年前に50代だった二人がこれをやってたというのもすごいことなのだけれど。
コンピュータの向こう側の他者ではなくて、AIが作り出した「傷つけない他者」たちの世界に溶け込む私たち。それだけではなく現実とも溶け合うようなMR("Mixed" Reality)になって、現実との境界は曖昧にみえるけれど、しかしゴーグルで隔て現実とは明確に隔絶し閉塞し閉じこもっていることはより浮き彫りになるようにも感じます。
無限とも思える時間を待ち続ける男たち、いわゆるゴドー待ちだけれど、ずっと「朝日」に出ていた二人の役者が変わるということは、生身の人間が無限に待ち続ける=演じ続けることはできないのだ、ということでもあるのだな、と思ったりもします。いままではモノクロだったキャッチビジュアルが、レインボーカラーになったことに何かのメッセージがあるのかなと思ったけれど、そういう方向の改訂はなかった気がします。何でも結びつけちゃう癖はよくないかもしれません。
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