2023.12.25

【芝居】「5deer」ユニークポイント

2023.12.10 15:00 [CoRich]

教師たちの会話劇かつ英語で単数・複数で変わらない単語がタイトルのシリーズ( 1, 2)、 三本目。70分。ユニークポイントの白子ノ劇場での最後の新作。12月11日まで。

大学の数学科で入試問題を持ち寄り決める教員たち。一人はまもなく子供が生まれるので遅れ、そして早く戻る。

開演前に前説代わりに数学の教師でもある作家がごく短く、素数と三平方の定理の講義。

徐々に人が集まり、数学についての話題だったり、同僚の話だったり。持ってる特性は天才的だったり、真面目で面白みがなかったり研究者肌だったり、数学の美しさだったり、あるいは子供の出産に際していろいろ見失ってる、個性あるひとびとの会話。

今作の素晴らしさは数学の美しさとある種の泥臭さ、将来に向けてもしかしたら何かにつかわれるだろうという想像力という数学者であると同時に、受験生に対して語りかけるように問題の意図がありこう答えてほしいと問題をつくる教育者を間違いなく併せ持つ人々の幸せな世界であることなのです。

円周率が3.05以上である証明まではなんとか理解出来ても、オイラー関数、暗号化の話など、外枠までで歯が立たず理系なのに数学がダメだったワタシです。だけれど熱を持った会話の面白さは感じるし、正解があるかわからない研究と正解はある入学試験の違いを「(行き詰まったら)引き返す勇気」と表すこと、その言語感覚も面白いのです。

どの時代の話かが徐々に判っていく構成が良いのです。マークシートでの共通一次の導入前、コンピューター安価になりつつ多くの研究に使えるようになること、あるいは女性が子育てして大学院に入り直すことが今よりずっと困難だった時代。終盤では企業の依頼で暗号化技術の萌芽が見えて、それに皆が夢中になるシーンは史実とは違うとは思うけれど、夢があるのです。

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2017.09.04

【芝居】「NAGISA 巨乳ハンター/あたらしい「Lady」サムゴーギャットモンテイプ

2017.8.26 14:00 [CoRich]

27日までRAFT。90分。

お笑いを目指していたがいまは会社員として働く男。毎日オフィスにやってくるヤクルトレディに恋をして、ベトナム人ハーフの新人のことを気にかけている。新人は日本の歌を覚えようとしている。ある日バーベキューに誘うがその新人は来なかった。ベトナムも日本も嫌いだという「新しいLady」
戦後すぐの呉の町。男でも乳房ができる男が発生し、男も女も巨乳であるものが勝ち、貧乳は虐げられるようになっている。その街に潜入捜査で消えた恋人を探すため、貧乳の女がやってきた。 (巨乳の姉妹、吉成の兄貴は幼なじみの貧乳をかばう。街のすべてをヌキありにして乗っ取ろうとする兄弟。片腹の兄貴は美乳の時代だと思うが思うようにいかない。巨乳の女のことが気になっているがさわることすらできない) 「NAGISA 巨乳ハンター」

中学生程度の英語でシンプルでイノセントな恋愛の感情とか、人を想う気持ちを描くというねらいかと思われる「〜Lady」。ヤクルトレディとベトナム人ハーフの青年、中年の冴えない男中年男が青年をバーベキューに誘い、青年はヤクルトレディと歌の稽古をし、中年男はヤクルトレディに好意があるけど言い出せず。三角関係のような言い出せないもやもやした気持ちというか。英語にすることでシンプルな想いをしんぷるなまま描き出しています。

「〜ハンター」は当日パンフによれば胸の小さな女優をネタにしたワンアイディアで。けれどヤクザの抗争に、男も胸が大きくなりその大きさでヤクザの序列がきまるという一工夫が見事で、その理不尽な序列が男女問わず成立するようにつくられています。それは胸の大小自体を性的に消費するという意味を薄めているのです。もっとも性的消費自体は物語の中では目一杯盛り込まれていて、身体を売るとか、すべてをヌキアリ(さびあり、さびぬきみたいにカジュアルで)とか。ヒロインを演じた田中渚はキメッキメのクールビューティが凛々しくカッコイイけれど、それを徹底するほどにコミカルに。とりわけ日替わりゲストの部分はわりと緩い設定のアドリブ芝居になっているようで、ゲストが陵辱してく趣向なのだそうで、まあ楽しく。巨乳の女を演じた塚田詩織はそのグラマーさが強烈な印象ばかりではなくて、きっちりと芝居も。

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2013.05.27

【芝居】「湖畔の探偵 全六話 」トリのマーク

2013.5.25 17:00 [CoRich]

年一回の劇場公演となってしまっている最近のトリのマークだけれど、昔のそれこそ月イチ公演の頃のキラーコンテンツ「ギロンと探偵」の最新作。全六話といいながらいつものようにそれすら怪しい70分。26日まで、ザ・ズスナリ。

探偵と助手のギロンはその駅に着いて降りてみると駅前には食堂も土産物屋もなくて、歩き回ってみるとずいぶん古びたボートハウスがあるだけ。新人を連れて調査を行っている男は宿敵のモリ君に似ているけれど、関係ないというし、探偵を追っているらしい人もいるし、別の探偵を名乗る人もいる。

犬(らしい、ぬいぐるみ)を持った絵に描いたような探偵の冒険ものがたり、というシリーズ。宿敵モリ(アーティー)君も、ブラックギロンも登場して、昔からのトリ好きにはたまらない仕上がり。 可愛らしさだったり、クスリとするようなボケとつっこみな会話に目くらまされるけれど、意味不明に断片がつながっていくような、そうとうにハードな不条理というか、不思議なここではないどこか感めいっぱいの雰囲気は変わらず。ギロンと探偵の頃とはずいぶん役者が入れ替わっていて、あの人は元気かしらと思いを馳せたりもするけれど、それでもこの雰囲気に浸っているのは嬉しいのです。

開演前の挨拶(藤田早織)がちょっと秀逸。物語で出てくるセリフ「駅に着くわけですよ、着いたら降りるわけですよ」と話し、舞台奥にあるらしい駅の壁に貼ってあるポスターを読むテイで、「携帯電話の電源はお切りください」といい、手前の床を読むようにすこし前屈みになって「お願いします」。つまり、「お願いします」がお辞儀しているように見えて、しかし物語の世界にそのまま導入してしまうというのがちょっと面白い。

探偵を演じた柳澤明子はもう圧巻の安定感、何年経っても変わらないというのがまた怖いぐらいだけれど。モリ君(じゃない人)を演じた山中正哉はつっこみが少な目、作業着姿というのがちょっと珍しい。劇団公演の出演はずいぶん久し振りな気がする原田優理子は、美人で背も高いのに、格好だけみるとガーリーなカールおじさん(ヒゲはない)風味な感じで、我関せずとボケ倒すすごさ。藤田早織が、なんかとてもキュートで、胸の奥がわさわさする感じ。別になにをするわけでもなくて、やはり作業着で何かをしている、というだけなのだけれど、なんだろ。もはや娘といってもいい年代なんですけれど、きっと。

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2009.08.16

速報「雨の一瞬前」ユニークポイント

2009.8.15 14:00

太平洋戦争の頃の日本人と朝鮮人をとりまく2007年作品 (1 )の改訂再演。90分。16日までスズナリ。先だって韓国での公演も達成。

そこにその時代にあったはずの恐れ、恨みの連鎖を描き出す構造はそのまま。特定の史実ではなくて、あったかもしれない、という作家の創作の物語。初演にはあった傷痍軍人の妻、という常軌を逸した役を物語に登場させなくしている代わりに、アタシの記憶は曖昧ですが同級生の女の語りや、つれてくるのが警察になっているのは違いかと思います。

今につながるけれど今はない「差別する気持ちを持つ人々」が普通の時代にありながら、そこに違和感をもつニュートラルな感覚の旅館の女将。父母から受けついたとは説明されているけれど、そんな時節に高いリスクを負って男たちを従業員としてまで彼女を旅館の再開に拘らせるのはやはり今回も今一つ腑に落ちない感じも。

理屈ではなく守りたい場所である旅館が実は「国」で、その気持ちが「祖国の気持ち」と勝手に読みとってみると、休業状態の今を外力を借りてで再開したいと思う気持ちがわかるかと思ったけれど、国を成立させるための外国人、みたいな話にまで持っていってしまうと、明らかにこれはアタシのミスリード。

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2004.10.22

「ぴあ」リニューアル

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雑誌「ぴあ」がリニューアル。版型が大きくなって、情報誌から雑誌という体裁に。慣れるまではいろいろ文句もつくことかと思います。電子チケットぴあ一辺倒からの抜けだし。たしかに、チケぴだからいいとは限らない(後述)。

芝居のページに限って言えば、当日券をその日電車に乗りながら探すあたしとしては、208ページあたりのスケジュール一覧が、すべての小劇場も含めて網羅されていれば文句ないんだけどなぁ。200ページからの「今週開催のステージ」も非常に近い感じ。これが一覧になってればなぁ。重いってのはあるんだけど、それはちぎって持ち出せばいいことだしね。

それより許しちゃいけないのは、モバイル版電子チケットぴあ。何にも買ってないのに月々210円、予約すればしたで一枚あたり210円、モバイル先行ならば更にいくらか、発券したらしたで100円(発券しなきゃ入れない劇場ばかりなのに)、郵送したら500円。なめとんのか。e+ならば、ほとんどが無料。安いチケットならば、郵送料も。ぴあを選ぶ理由はありません。「ぴあカード」の昔から、ぴあを使っているあたしとしては、応援したい気満々なのに。 別に「ぴあ」でできないわけじゃないというのもちょっと腹立たしい。「アフターファイブクラブ」という、法人向けのシステムがあるんですが、これならばこの手のお金まったくかからないんです。ひでぇはなしだ。

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