【映画】「嵐になるまで待って」Livespire
2009.3.17 19:00
ゲキ×シネやシネマ歌舞伎と同様のシネアルタで撮影された舞台の映画館上映。ソニーが配給するLivespireの第四弾、キャラメルボックス昨夏のツアーを。アタシはこのシステム初見です。
四演めとなるキャラメルのスタンダード。ミュージカルや歌舞伎、新感線というどちらかというと派手な演目が多い劇場上演なのだけど、エンタテインメント指向とはいえ現代の会話を中心とした芝居の上演のある種の地味さがこういう場でどう見えるのかという不安は多少。序盤こそ違和感はあるのですが、きちんと映画のようにカット割りされ編集されたものは、芝居とは別もののエンタテインメントとして成立しています。
細やかな表情の一つ一つ、もっというと皮膚の様子まで手に取るように見えてしまうDVDのような「明るい映像」がシネマサイズの高精細できっちりというのは映画とも違うし、テレビサイズの映像ともちょっと違う印象。でも、舞台を俯瞰でとり続けるのではなくてカット割りするのは、たぶん舞台を観ているかどうかにかかわらずの落としどころとしては全く正しいのです。
半面、たとえば嵐のシーンの迫力は見えてるモノだけではなくて、音が震えている感じというのは劇場では感じられるのだけど、映像ではさすがにそこまでの迫力には至らず。そのかわり、その嵐の中での台詞は舞台では聞こえないような小さな声の部分も聞こえたりして。
前売りで2000円、さまざまなサービスデイを使えば1000円で観られるというのは十分アリなんだと思うのです。
正直にいえば、音響面での不満があります。東京で現在上映されている丸の内TOEI2は初めて入りましたが、最近のシネコンに比べると椅子や上映機材こそ最新なのだけど、劇場自体が古かったり、地下鉄と思しき音(だよなぁ、これ音響の音じゃないと思う)がかすかに聞こえたり。サンシャイン劇場での爆音状態に慣れている身には、少々おとなしい印象すらあります。他の上演館には新しいシネコンもありますから、そこではどう感じられるのかを知りたい感じも。こんなことならば改装したばかりの新宿ピカデリー上演の時にみればよかったと思うのです。システム自体が黎明期で、ましてや配給を慣れないメーカが手がけるLivespieだからこそ、システムの魅力がちゃんと引き出せる場所で観たいのです。
これで安価に再生産しながら芝居への敷居が低くなるなら、そんなにいいことはないわけで。去年のクリスマスツアーもLivespireとしてラインナップされるようで、楽しみなのです。
役者はだれも印象的です。渡邊安里の表情の豊かさはアップになるとそのダイナミックレンジの広さに心奪われます。西川浩之浩幸(ご指摘ありがとうございます)や土屋裕一、細見大輔といった面々もこういうアップのカットの中では新鮮ですらあって印象に残ります。
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