2010.06.14

【落語】第13回てうし寄席(柳家三之助 真打披露)

2010.6.12 14:00

銚子出身の柳屋三之助が続けてきた「てうし寄席」7年目にして、真打披露を兼ねた「故郷に錦」公演。地元らしい、かなり大きい会場に集まる人々の笑顔が楽しい。しかも雨男のはずの三之助としては珍しい快晴。

  • 入船亭 辰じん[寿限無]
  • 柳亭 こみち[薬缶][かっぽれ]
  • 柳家 喜多八[長短]
  • (仲入り)
  • 口上 三之助・小三治・喜多八・こみち
  • 林家 正楽(紙切り)
  • 柳家 小三治[小言念仏]
  • 鏡味 仙三郎社中(大神楽)
  • 柳家 三之助[棒鱈]

晴れがましい場所、寄席とは違う雰囲気、満員とはいえないけれどあの広い会場をきっちり埋めるちから。花火といえばそうかもしれないけれど、一生に一度の真打披露。

辰じん、自分の役割は観客の携帯電話を切らせることと宣言(なので仲入り前は携帯がならないのは見事。そのあとは彼のせいではないけれど残念。口上の最中にならなかったのがせめてもの救い)。スタンダードに寿限無。

こみち、(あたしとしては)かわいらしい女性の噺家だけれど、物知りをひけらかす「先生」がきちんと男。かっぽれも、祝いの場らしくて楽しい。

喜多八、アタシは三之助の長短しか聴いたことがなかったのですが、なるほどバリエーションの違い。おもしろおかしくしなくても、この対比だけでおもしろい噺のちから

口上、こみちの「一夜のはなし」、喜多八の「なれない場所」、小三治の「入門のいきさつ」

紙切り、相合い傘、客の潮来の花嫁、犬吠崎の灯台、きちんと三之助のシルエット。

小三治、まさかの携帯。腹を立てることもなくやんわりと注意しつつの。木魚の音が響かないのは、この会場の広さではしかたないところ、楽しく日常を描写するはなし、たぶんアタシは初めて聴いた噺。

三之助、以前聴いたのに途中まで気づかず。あれれ。

三之助の噺(というより入る前)が長いというのは定説だけれど、三之助が舞台に上がった時点で予定の終演時刻残り3分なので、彼のせいではありません。30分押しの17:15終演。

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2010.03.23

【落語】「柳家三之助真打披露興行」鈴本演芸場

2010.3.22 17:20

アタシが見続けている唯一の噺家、柳家三之助の真打ち披露興業。初日にはいけなかったけれど、これはみなくちゃなりません。鈴本のあと末廣、浅草、池袋。鈴本の終演は21:10頃。

舞台の上に祝いの品。奧に幕。賑やかな感じが実に楽しい。披露興業らしい賑やかなお祭り感が楽しい。口上も噺家達らしい軽い感じで、祝いの場だという感じに溢れています。

演目は友人のところからコピペ。有り難い。

  • 才紫 「子ほめ」
  • 一琴 「真田小僧」
  • 仙三郎社中 太神楽曲芸
  • 白酒 「ざる屋」
  • 菊之丞 「元犬」
  • 小円歌 三味線漫談/かっぽれ
  • さん喬 「徳ちゃん」
  • 小三治 「二人旅」
  • 金馬 「親子酒」
  • 口上
  • 世津子 奇術
  • 圓歌 「御前落語」 (らしい)
  • 市馬 「芋俵」
  • 正楽 紙きり
  • 三之助 「長屋の花見」

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2009.12.30

速報→「三之助をみたかい? vol.11」

2009.12.25 19:30

来年いよいよ真打ちの三之助、定例の独演会。いままでになく21:30には終演。粒谷区区民割引、なんていうのも楽しい。

留守をしている小僧のところにやって来た男が伝言を伝えるが 「金明竹(wikipedia)」。
知り合いが云う、熱くて評判の灸は「強情灸(wikipedia) 」
大晦日の掛け取りに頭を抱える夫婦。やっとのことで一人は追い返したものの、まだまだ掛け取りはやってくる。表で聞こえる呼び声は「借金の言い訳を代わる」のだという。「にらみ返し

クリスマス前後っていうことの話をしながら、いよいよカウントダウンが近づいていることもあって、真打ち披露興行の話、twitterの話を取り混ぜつつ。どちらかというと笑わせてなんぼ、という小編を取りそろえて、年の瀬らしい賑やかさがたのしい。

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2009.09.18

【落語】「三之助をみたかい? vol.10」

2009.9.16 19:30

来年三月に真打ち昇進の決まっている三之助が続ける独演会。二席、115分。日暮里サニーホール。

博打打ちの手口「看板のピン」。 田舎からでてきて、財布を摺られ、困っていた男を雇った店は「甲府ぃ」

短いまくらといっていたにもかかわらず、まくらで60分。今年の夏のこと、来年のこと、旅先のこと、食べ物の店をネットで探す話、福岡のバスの話などさまざまとりまぜて。 アタシはどちらも初めて聞いた噺。なんか技をみて、それを真似しよう、という構造はよくある話。タイトに20分弱スピード感が楽しい。

後半はネタおろしらしい(違うらしいです。ご指摘感謝)じっくりした一本。タイトルだけは知っていて、どういう話かと思いながら、オチはあっても、涙じわりのいい話。素朴な感じをやらせても巧い。

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2009.06.25

【落語】「三之助をみたかい? vol.9」

2009.6.24 19:30

真打ち昇進の決まった三之助が続けている独演会。ちょっと遅刻しちゃったけど、のどの調子が悪いらしくて通常三席を二席にぎゅっと圧縮。まくらも短めでやれば出来る21時ちょっと過ぎ終演。日暮里サニーホール・コンサートサロン。

会社から運転手付きの車で戻った主人、迎えがないことから始まり家のあちこちに文句を付ける。奥さんは実家に帰るが父親に諭されて戻り「かんしゃく」(なぜかwikipiediaにはエントリがない)
植木職人がお屋敷で見聞きしたことを家に戻って「青菜」(vol.4でも)

ちょっと友人という気持ちが勝手にあるアタシですので、この会で選ぶ噺に、勝手に文脈を感じてしまうのです。奥さん(かみさん)をフューチャーしたと思うのだけどどうだろう。

「かんしゃく」は初めて。明治期の新作なのだといいます。たしかに言葉遣いどころか所作、出てくるものすら違います。もちろん、途中で着地点は見えますが、落語ですからそこは大きな問題ではありません。前半での主人の理不尽さをどれだけ出して、後半の落差をどれだけ出すかが落語としての骨格だだと思うのですが、アタシが好きなのはその間を繋ぐ、実家での父親。時代とはいえ、夫を立てることを諭すというところから入りつつ、じゃあ娘(妻)自身はどうしたらいいのか、ということがちゃんとソリューション(今風だなこれ)があって、それを実行したら、圧倒的に幸せ、という感じが実にいいのです。この諭す三之助がちょっと凄い。

「青菜」は途中まできて過去に聴いたことがある噺だと思い出しました。外で見てきたことを身の丈に合わないけれど真似するおかしさが爆笑編につなぎますが、そのおかしい夫婦の姿が、あふれるほどの愛情を感じさせて実にいい噺なのです。押し入れに隠れる、なんてことのばかばかしさとその情景が目に浮かぶのです。

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2009.04.21

【落語】「三之助をみたかい? vol.8」

2009.4.20 19:30

落語はほぼココでしか聴いていませんが。毎回楽しみで会社を定時に抜けるのを工夫してしまいます。次回は6月。

自分は酒が好きだと告白(みんな知ってるけど)しつつ。禁酒を誓った親子。息子が帰ってくるまでにちょっと呑んじゃおうと思って「親子酒」。
初めて落語を聞いたときのはなしから、寄席ってのは経済が廻ってないところの魅力と云いながら。新しもん好きの男が近所に出来た店が楽しみで楽しみで仕方がない「欠伸指南」
仲入りを挟んで、最近始めてはまってることはスキーだとか。食わず嫌いでは何事も「明烏(あけがらす)」。

毎度退館時間ぎりぎりまでやってしまうのだけど、今回は記録的に短く21:45終演。枕を振りながら、枕か噺かを曖昧にしながら導入していくのは多分そういう演出なのだと思います。それぞれの枕がちゃんと噺に繋がるように構成されていて一種のフォーマットにすらなる感じなのです。

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2009.02.14

【落語】「三之助をみたかい? vol.7」

2009.2.12 19:30

三之助が続ける一人会、7回目。いつもどおり、21:50終演

「厩火事」(wikipedia)。「小言念仏」(wikipedia)。「甚五郎の大黒(三井の大黒)」(解説)

根多おろしを含む三本立て。遅刻したので一本目の途中から。髪結いの亭主は怠け者、妻は腹を立てて相談に行くけれど別れたいというわけでは、実はない。泣きそうになる妻の表情が巧くて泣きそうになりつつ。

二本目、リズムを刻みながらの小品。こういうのもあるのですねぇ。他の人が居る風景に見えますが、上下切ったり対話してないので独り言だと思ってしまうとシュールでそれも楽しい。

仲入り挟み三本目。飛騨の甚五郎、という名人が市井の感じでおとなしくしてバカにされたりでも凄い技を見せたり。スノップな感じは鼻につく物語ではありますが、そういう技があればアタシだって一生食えるのにと思うのは何だろう、ダメ人間の憧れ的なモノですか。

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2008.12.25

【落語】「三之助をみたかい? vol.6」

2008.12.24 19:30

柳家三之助が続ける一人会。日暮里サニーホール・コンサートサロン。仲入りを挟んでの二本。終演21:45。( 1, 2, 3, 4)

与太郎が叔父に言われて道具屋の露天商に挑戦して、あれこれ売ろうとしたり売れなかったりする「道具屋」(wikipedia)。
旅籠の大掃除で家宝の御神酒徳利を通い番頭が大切に水瓶に沈めて隠しておいたのを忘れて大騒ぎになり、言い出せずにいると、番頭の妻の入れ知恵でそろばん占いで徳利の行方を占い見つけたことにすると、その評判を聞きつけて大阪の大家の娘の病気を占って貰いたいと云われ、大阪に行くことになる。「御神酒徳利」(wikipedia)。

12月はこの日しか空いてなかったのだという「特異日」だと云いながら開演。どうしても退出時間ぎりぎりになる毎回に反省して、その特異日だから早く帰れるようにいつも三本のところを二本にするとか。といいながら、客の中の五人を抽選で選び、一人一人一言を添えた色紙を、というプレゼントっぽい趣向。これが思いの外時間を食ってしまったため結局いつもの時間まで。この緩い時間の感じはそれはそれで嬉しいけれど、色紙を書いてる時間は当然喋りは薄くなるわけで、そこに「特異日」的な過剰な期待をしちゃって乗り込んだアタシには少々肩すかし感。あえてこの日に来てるからこそ、がっつり聴きたい感じも。

道具屋は小咄の集積、というような体裁なので、イキオイが欲しいところ。ちょっと色紙に気力が取られちゃった感じも。御神酒徳利はアタシは初めて聴いた噺だけど、物語自体が独立して面白い感じで良くできてて、巻き込まれ型の亭主、なんてのをやらせると巧い三之助によくあっている感じ。

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2008.10.28

【落語】「三之助をみたかい? vol.5」

2008.10.27 19:30

柳家三之助 の一人会。ふたを開ければ最長記録、終演21:45。日暮里サニーホール。

江戸の夜の二八そば、巧いこと支払いを誤魔化した男のやり口を真似しようとした男の「時そば」(wikipedia)。
殿様が外に出て空腹を覚えるが弁当の用意はなく、近くの農家で焼いていた秋刀魚を「目黒のさんま」(wikipedia)。
失明した男は医者にも見放され、神仏に願掛けに行くが悪気を起こしまったく見えなくなってしまう。もういちど信心しろとたしなめられ通うが、その満願の日になっても治らず「景清(かげきよ)」(wikipedia)

気がついてしまって不安でしょうがないことから始まり、雨男(夕方にゲリラ豪雨だった)、絵本寄席や新刊(オールフライトニッポン2)の話、近所のたこ焼き屋だったはずの店の変遷などをまくらに。ここがかなり長いのはいつものことだけど、ゆるゆると噺家の思ったこと考えたことやったことを近況報告のように聴きながら過ぎる時間もまた贅沢で。

「時そば」は「いま何時でぃ?」っていうセリフは有名だけどちゃんと噺として聴いたのは初めてかも知れません。思いつきの面白さとそれを真似した男のうまく行かなさ度合いが楽しい。細いつるっとした蕎麦と太いごわごわの蕎麦の食べ分けの誇張も楽しくて。

「目黒のさんま」こちらも「さんまは目黒に限る」っていうセリフばかり知ってても聴いたことあったかしらん。三之助としては初めてやる噺なのだといいます。脂の乗った秋刀魚の描写にごくり、てな感じで。食の安全ってのは、何をどうやって作ってるか見えてることだよなぁとぼんやり思ったり。殿様が城で所望したときに出てきた方の秋刀魚は、美味しく無さ加減というよりは安全だのなんだのに行きすぎた感の不気味さすら。めずらしく政治家だの歌謡曲だのを引用してくるくすぐり満載。

仲入りを経てもう一席。

「景清」は半年を経ての再登場。軽めの前二つに比べるとがっつり噺にとっくみあう感じ。妻への想いが収束していくあたりにわしづかみ、なのです。

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2008.09.14

【落語】「末廣亭深夜寄席」(2008.9.13)

2008.9.13 21:30

客なんて居なかった昔の深夜寄席をすこしだけ囓ったアタシには同じ回とは思えない超満員200名。下席から真打ち昇進する5人、二つ目しか出られないこの会からの「卒業興行」と銘打って。

「宗論」三遊亭あし歌(→歌橘)
「初天神」三遊亭歌彦(→歌奴)
「新・生徒の作文」春風亭栄助(→百栄(モモエ))
「岸柳島」古今亭菊可(→菊太楼)
「豊竹屋」古今亭志ん太(→志ん丸)

夜にフタコマ確実にという流れで教えて貰った組み合わせ。たしかに近いし楽勝。末廣亭前からゲーセン角をまがって見えなくなるぐらいの行列。どの噺家も多分初見のラインナップ。深夜寄席とはいえ、昇進間近ですからちゃんと盛り上げる熱気。

「宗論」はねた自体があんまり好きじゃないんですよねぇ。キリスト教かぶれの口調で笑わせるという理解のアタシですが、差のあることが笑いには繋がらないような気がして、彼に限らずどうも入り込めない。

「初天神」は笑わせ話のスタンダード感、安心。仕草で笑わせることが噺家でのバリエーションだけど、大喜びする子供のあたりとか、舐め取る所とかに笑う。

「新・生徒の作文」は読んでて突っ込むだけ、という構成なので終始目を伏せてる感じでどうにも落語としての立体感が出てこない感じ。それぞれの作文はそれなりに面白いのだけど、どうも「父親の職業」からのオチ、あんまりなぁ。これはブラックというのとは違う気がするなぁ。だってこう落とす意味がわからない。

「岸柳島」と書いて「がんりゅうじま」と読ませるのがちょっと洒落てて好き。もと来た岸に戻って果たし合いだというあたりの頭のいい展開がスマートで、結構好きかもしれない。初めて聴いた。武士らしい安心の重厚さよくあっています。ところどころ口調が怪しいところもあるけど。

5人のあれこれを枕に引きながら、「豊竹屋」は都々逸の唸り具合での大爆笑編。おかしな趣味を持っている男の所に、共鳴するように同好の士が集まってしまうあたりは、ちょっと「天才バカボン」を思い起こさせる感じ。バカボンのパパのところに、バカ田大学の後輩とか同窓生が次々やってくる感じがして楽しい。

よみうりテレビ制作の「ミヤネ屋」なるテレビ番組のカメラが入ってましたが。開演前にレポーターが「客席も撮影する」と一言言ったとはいえ、立ち見も出ている超満員の客席にカメラを立て、問答無用に客席を撮影する必要はあるのかしらん、ちょっと嫌な感じ。そのテレビを枕に振らない5人はしっかりしてる。

客席も写真・写メを撮ったりする客が多くて、すくなくとも一人目は出てきた瞬間の写真を撮ってる客。客席が荒れているということも実感しますが、それを放置しておくということは、寄席としてそれでいいと考えてる、ということになってしまうと思うのだけどどうだろう。

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