2015.8.22 17:00
[CoRich]
Hula-Hooperの菊川朝子がクラウドファンディングから立ち上げ、ホントにやり遂げてしまった鳥取2Daysイベント。初日のみの参戦、ワタシにとっては
2010年の夏以来の鳥取でした。クラフト館 岩井窯で23日まで。
山陰道、最寄りの岩美駅からは4km弱、里山っぽい雰囲気の中を歩いて、近くの温泉でヒト風呂浴びて参戦しました。開場時間中には降っていた雨もなんとか止んでの開演。場所は坂を上がってバンガローと広場という関係に似て、釜や茶室などいくつかの建物に囲まれた広場のような場所。真ん中の広場を中心にしていくつかのステージをしつらえ、飲食ブースも用意しています。多くのスタッフを入れ、クラウドファンディングも活用したとはえ、たったひとりの言い出しっぺがここまでやってしまうバイタリティ。
いくつかのイベントが並行して行われていて、出入り自由、飲食自由な雰囲気。アタシはといえば早々にビールを何杯もで、例によってヘロヘロになりながら。
正直、公共交通機関の期待出来る場所ではなく、タイムテーブルが時間通りだったとしても、市街地に戻る手段はありません。調子に乗って最後までおんわり楽しんでいたら、案の定足がなくなったりしましたが、そういう観客が少なかったこともあって、なんとかスタッフの車に同乗させていただけたのはラッキーでした。もし今後があるならここをどうするか、あるいはどうアナウンスするかがポイントになりそうです。酒が飲めないのは辛いけれど、レンタカーも視野に入るでしょうし、岩井温泉という手もあるかもしれません。鳥取まで夜に自転車は少々きついか。
(0)迎賓タイム
ステージやさまざまを紹介しつつ、音楽で盛り上げる時間。キャプテンクーコッチのちょっと騒がしくて少し間抜けな感じのイキオイで、少々空回りしつつ、前のめりで盛り上げます。イキオイはいいけれど、正直にいえば滑舌の難があって、インフォメーションというかガイドという意味では不安がありますが、まあ、コンパクトな会場だしスタッフもたっぷりですから、これも持ち味の範囲。
(1)部活動の鱈。
今年東京で上演した人魚姫の物語。センターステージというか広場の野外劇、観客はパイプ椅子や、あるいはビール片手に立ち見したりと思い思いにばらばらとアタシは後者のビールのコースで。元々の鱈の上演も飲食店のステージも後方やあちこちから現れ通路でも何でも使いまくる持ち味なのだけれど、この場所を使った結果、小さなステージと、その外側をぐるりと囲む建物、あるいは鉢植えの蓮などいろんな方向から現れ、よりダイナミックさが強く。アタシの友人が云う「祝祭の」空間にふさわしい物語と雰囲気はここによくあっていて、さすがに言い出しっぺの強さ。しかしビキニの水着のような女性たち、とりわけ腹筋を動かす姿がやけに色っぽく喜ぶおやじなアタシだけれど、山を背景にするとただ色っぽいというだけでなく神々しさがプラスされるのです。正直に云うと、オープニング、しかもフェスの企画としては少々長いのもほんとうだけれど、これは妊娠を発表した主催への祝祭でもあったりするわけで。ええ、でも酔っ払いはアタシはそのときは気付いてなかったという大失敗だったりもして。(おめでとう)
(2)「ともだちのそうしき」(女性版) RONNIE ROCKET
仗桐安が繰り返し上演する二人芝居
(1,
2)
の女性版はやや深刻な物語。
一本目で飲んだくれたアタシ、しかも外では別のライブだったりコントだったりを騒がしく、フェスとしては出入り自由という形で1時間の芝居をしっかりみせるのは茶室という屋内であっても、少々厳しい戦いではあります。
アタシにとっては謎解きの雰囲気よりも女たちがどう友達になっていくかという話の方が強く思えたのは新しい発見。
(3) ハイカラ
愛知で活動する女性四人のユニットから二人・
まつやまみどり・加東さゆみが出演。
鳥(ぴいちゃん)が逃げたといういう話をベースにして、ひとつの歌詞(スペシャルな友達)、メロディーラインを細やかに重ねていきます。
新しいもの好きな姉(ピアノを弾く)と、逃げた鳥のことをずっと考えている妹。妹の「気持ち」に重点をおいた物語。声の重なりが心地よく、あたしたち大丈夫、という前向きがうれしい。
その次をみようと思ったら、ちょっと時間が押していて前のパフォーマンスがセンターステージで。BARONによるヴォードビルの後半。くものすかるてっとの片岡正二郎のバイオリンも参戦しつつ、祝祭の空間をきっちりと。倉吉の限界集落と呼ばれる明倫地区を訪ねた時の曲も地元のもので。
(4)「鯵」
Hula-Hooperにも参加することの多いユニットがボーカル・ピアノの安田奈加と、ドラムの前田卓次、ベースの瀬尾雅也による3ピースで三曲。「アタシ乱暴なの」の歌詞が印象的な「乱暴なうた」(YouTube)、2007年の鱈で演奏された「サヨナラ三角」(YouTube)と「極楽トンボの飛行船」(YouTube)。後者は永遠は長すぎるから、とわいいながら祝祭が続く空間を。
(5) 「minimum-memo」chon muop
元々トリのマークに所属していた櫻井拓見によるユニット。この場所を作った人のこと、ここができる前の話、あるいはあなた=観客がここまらくる道のりという話はどこか古巣の「場所から発想する」雰囲気をまといます。後半は冷蔵庫の話に転移。家族が共有する唯一の家電。ほかのものは個人のものになってしまったといってみたり、あるいはメモを貼ったりして記憶の貯蔵庫になる、という視点が新しい。ここになるともう芝居だけで平行する催しがなくなっているので見やすい。
(6) 二人静
菊川朝子・菊池ゆみこによる女性デュオ。アタシは初見です。彼女たちの世代というよりは、アタシの世代に近いピンクレディ初期の二曲を。作り物感と、役者の生々しさのギャップ。
(7) くものすカルテット
祝祭感めいっぱい、場所の雰囲気にもあっていて初日ラストを盛り上げます。圧巻の安定感。曲目リスト、何処へやった>おれ
フードもあるのだけれど、実はあまり食べる暇がないというのも弱点。
出入り自由、同時多発という形、撮影可否があいまいに見えるというのもマイナス。あるいはこの中では芝居はどうにも脆弱ということもあからさまになります。ステージを独占したオープニング企画の「鱈」はともかく、どちらかというと繊細なロニーロケットや(音楽×芝居とはいえ)ハイカラなどはどうしても不利になりがちだし、時間が押しはじめても芝居は時間短縮などの手が打てないのもフェス形式ではなかなか厳しい。結果、終演時間は当初予定よりも大幅に遅れて交通手段がないとか、まあ。でも一回目はそういうもんです。ここに参加したことが勲章なんだよな、と思ったりもします。フジロックだって最初は、ええ。
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