【芝居】「歌を歌わないように食べる昨日」クロムモリシタン
2026.9.14 19:00
[CoRich]
2018年に休止したクロムモリブデンの作演アオキヒデキの作品を上演したいというその劇団の役者・森下亮によるプロデュースユニット。かつて東京で上演していた王子小劇場改めインデペンデントシアターOjiでというアングルも熱い100分。9月20日まで。そのあと大阪。
取り調べを受ける男。芝居を見ていたアリバイがあるという。 先生と呼ばれる女、生徒ユーマ君に不幸な生い立ちは不幸のまま書いてもいいという。女の夫は道路陥没事故で行方不明だ。近所の女は寄り添っているが、今までにない高揚感を感じている。 タイムスリップモノか記憶喪失モノしかドラマがウケない時代になりいやいや撮っている映像作家。そこに突然現れた男は記憶が無いというが、それは道路陥没事故で行方不明担っている男で、脳内に居る刑事と話をしている。
悪夢のような出来事が現実だったり夢だったりと境界線が曖昧になりながらぐるぐると回転するような感覚は唯一無二ともいえるクロム節。 荒唐無稽で現実感の薄い物語とおもっていると、 道路陥没だとか、こまっしゃくれた天才のような子供が兵士の興奮剤として使われるとか、犯罪をあらかじめ予測して防止するために逮捕するなど現実や、これから現実になりそうなことを細かく混ぜ込んでくるのも、新作でありつづける小劇場の楽しさなのです。
行方不明の男を演じた森下亮は座長兼プロデューサーはもちろん、彼がいるからのクロムという劇団のカラーにもなっているオーラの強さ。盟友ともいえる久保貫太郎は大きな劇場にも出るようになっているけれどこの小劇場で再び出会える嬉しさ。行方不明の男の妻を演じた渡邉とかげはクロムでは新人だと思っていたらもう主演女優の風格。撮影する二人を演じた小林義典、花戸祐介も狂った世界の住人としての確かさ。教師の女の近所に住み実は盛り上がっている女を演じた橋爪未萠里はなかなか他では見られないコメディエンヌな造型、とりわけ渡邉とかげとの、「エアー卵焼き」(twitter)のダンスの楽しさ。教師の女の脳内にいる生徒を演じた土本燈子は明確にはっちゃけた前半の潑剌さが眩しい。
観ている最中に評判のテレビドラマ「Tシャツが乾くまで」を思い浮かべたワタシだけれど、それ行方不明の男と、待っている妻みたいな構図だからか、あるいは唐突に終盤、洗濯物を干すとか干さないとかのシーンがあるからか。
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