【芝居】「同じ穴のムジナ」オーガミッツ
2026.9.4 19:00
[CoRich]
メガネ、O型、娘持ちという共通点のオジサン三人、役者の瓜生和成(小松台東)、近藤強(青年団)と作演の本橋龍(ウンゲツィーファ)によるユニット(Oがみっつ)の旗揚げ公演。9月13日までシアター711。
地元の友人が死んだと聞き、葬儀に出るために郷里である山あいの町に20年ぶりに戻った男。別の友人に案内され、その双子の兄が働くコンビニは男が死んだ川岸にほど近いところにあり、話を聴く。酒を呑んでいたが、自分から川に入ったようで、「ムジナに化かされた」のではないかという。
基本的には郷里を久々に訪れた男を一人の役者(近藤強)が、彼が出会う地元の友人たちや、タクシーやバスの運転手や果ては死体に至るまでもう一人の役者(瓜生和成)が演じるという構成。まるで「ムジナに化かされた」ように鮮やかに、時にコミカルに一人称視点で進む物語。 この男、昔の記憶があいまいになっているけれど、物語が進むにつれて、かつてはいじめる、いじめられるの関係があって、帰ってきた男や死んだ男はいじめる側、案内してくれた男やその双子の兄はいじめられていた側というカーストであったこと、弟の方は兄を裏切る形で、いじめる側に取り入ろうとしてきたことなどが見えてきます。
過去の引っかかりを軸にした「不思議な物語」なのだけれど、これを二人芝居で濃密に描く構造こそが今作の強み。少ない役者が衣装や声色、会話に滲む関係性から様々な人物に変化していくこと、舞台中央に据えられたベンチ状の物体を舞台上で回転させることで乗用車の運転席と助手席、バスの長い車体、あるいは船、果ては棺が置かれた台などさまざまなものに見立てることなど、「見立て」によって観客と舞台の共犯関係をさまざまに変化させ、ときに逆手に取って物語を進めることで、映像ではなく、舞台だからこそ成立する空間を作り上げるのです。
決して明るく快活な人間の物語ではなく、過去の消し去れないこと、蓋をして見て見ぬふりをしてきたことが、たった一度地元に戻ってしまったがためにぶあっと吹き出してしまう感覚は、年を重ねてからではなかなかにハードです。きっかけとなった友人の死がそこにリンクしていて、自分が次のターゲットかもしれないと思う感覚はホラーでもあります。
久しぶりに帰った男を演じた近藤強は重要な序盤での一人称視点の安定感。もしかしたら過去にいじめた側かもしれないな、というやや強面の説得力。それ以外の役をほぼ一人で担った瓜生和成は序盤で演じた死体から、地元のさまざまな友人たち、果ては元同級生の風俗嬢などダイナミックレンジが広いことに驚き、終盤の早替えも楽しく。
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