【芝居】「この夏、屋根裏から異世界へ(※行けません)」猿博打
2026.8.7 14:00
[CoRich]
猿博打の新作、やみ・あがりシアターの笠浦静花によるSF作品100分。リニューアルした駅前のTAROビルOFF OFFシアターに初めて足を踏み入れましたが、雰囲気は変わったように感じないワタシです。(多分裏側の工事でしょう)。8月9日まで。ワタシは序盤の観劇でオリジナルキャストでしたが、役者の体調不良により役者を一部変えての上演だったようです。
夏休み、若い女が母親に指示されて亡くなった祖母の家の屋根裏部屋の片付けを始めるが、突然知らない男が現れる。勇者のような出で立ちに女は好きな物語の世界を感じ、勇者は女からの指示に従い行動して成功するが、やや上から目線の女が鼻につき始める。そこのもう一人の男が現れ、女に何が起こるかを言い当てる。
現実の世界にいる人間から、読んだり紡いだりする物語の主人公を下位とし、そこから人間は神様、という構図の物語。一方的に人間たちは物語の世界では何が起こるかわかる、というアングルをしっかり定着させたあと、新たに現れた男・イエローハットは勇者の下位にあり、人間の上位にあるのです。つまりはジャンケンのような三すくみという構造の圧倒的な強度。イエローハットと勇者の会話は盛り上がっているけれど人間には日本語っぽい会話なのに何についてどう話してるかまったくわからないという凄み。三角形の頂点の一つは観客の視点なのでそれをぐるぐると回す楽しさ。いわゆる異世界モノの物語には全く疎いワタシですが、「神の助言に従う」ところから自分で選び取ることという成長らしきモノは描かれつつも、しかしこの構造だけで勝ったも同然で作家の圧倒的なチカラを認識するのです。
女を演じた村上弦はいわゆるヲタ女のおどおどした会話だったり、ダサいジャージ姿などなかなかキャッチーな感じで物語を駆動し、勇者を演じた河村凌は、類型としての異世界勇者をしっかり。ここの嘘をがっつり固めてこその三すくみなので、実は結構チカラのいるところ。イエローハットを演じた板場充樹は、リアリティという足場を一つも持たずに、先の二人と合わせて三すくみを完成させる難しさを難なく。すばらしい。
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