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2026.08.07

【芝居】「煙の汽水域」ムシラセ

2026.7.11 19:00 [CoRich]
保坂萌の作演によるムシラセの2026年の新作。7月19日まで小劇場B1。80分。

愛人の家で死んだ父親の葬儀から帰ってきた母と息子、友だちも来る。それから15年後、商社勤めになっている男は7年の交際の末に恋人が出ていく日、小説家になった友だちも手伝いに来る。 それから15年後、愛人の家。妻子も出て行って、しかし愛人も別れるという。

一人の男とその友だちの男の15年を隔てて変わったり変わらなかったりを描くいわば「セイムタイムネクスト15年」の作りだけれど、そこに女性を一人加えています。男性二人の役は変わらないけれど、女性はそれぞれ別の人物で、母→恋人→愛人と変わります。妻が無いのがポイントなのかもしれません。

序盤の20歳、愛人宅というどうにも締まりの無い死に方をした父親の葬儀、気丈な母親、距離感の掴みかねている息子にそれを知らずにきた友人の基礎固めから、35歳ではそれぞれが生活や仕事に歩み出していて、程よく離れた距離感だけれど、男から好意を寄せられてもそれを受け入れられないバリバリの商社マンになっていること、そして50歳では結婚していてしかし愛人宅に転がり込んでいてという、人の業というかしょうもなさをテンポ良く描きます。

ポイントなのはそこに挟まる30歳の回想。友だちが好意を寄せていることを気付いている恋人の女というのが物語の要だという気がします。いろいろなポイントを見逃したり見て見ぬ振りをした結果、ケーキを一人で食べる羽目になる終盤。引き留めなかったことや失ったものの後悔を感じさせるのです。

男を演じた阿岐之将一、意図したわけではないのにイノセントなあまり商社のホモソーシャルか感じに染まり、父親を軽蔑までしていた愛人を自分も囲っていたりという主役に重要な「考えてなさげ」をきちんと(文章だけだと意味分からないけれど)。友人を演じた池岡亮介は一途な思いを告げる瞬間の高揚と失意、しかしずっと寄り添う細やかさ。

母・恋人・愛人という三人の役を一人で担う異儀田夏葉の今作すばらしく、どの役も現実にありそうと思わせる説得力。

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