【芝居】「桃燕飯店(タオヤンハンテン)〜煥発〜(カッパツ)」ドリル饅頭
2026.8.6 18:00
[CoRich]
ナイロン100℃、温泉キノコを経て中西広和が立ち上げた劇団。単独公演としては初見です。90分。8月9日まであかいくつ劇場。
夫婦と二男二女で家族経営の中華料理屋、主人が亡くなって次男が鍋を振るが客が減る一方だが、大家は暖かく見守ってくれている。 客を呼び込もうと末娘がショート動画をSNSに投稿し、それをみた客の投稿が炎上する。失意の家族だが、母親が元は歌手志望だったと知り、子供たちは街を応援するアイドルのオーディションへの母親の参加を後押しする。
店主が亡くなり閑古鳥の鳴く店でしかし明るく暮らす家族と善意の家主。そこにふりかかる悪意による炎上が物語の展開を後押しします。この悪意の理由も母親の虐待という理由は示されます。「犯人」の母親をみるPOV(一人称視点)の動画はもはやホラーだけれど、自分が生きるために他人を傷つけるという構図はなかなか他では観られない感じ。
歌謡ショーよろしくいくつかの歌う場面は唐突に感じたりもするけれど母親のご当地アイドルオーディションへの応募という家族(と店の)再生への道筋に繋がるという意味ではミュージカルを目指しているのかなとも思います。この芝居に限らずミュージカルの文法になかなか慣れないワタシだけれど、奇跡を歌が担うのだという風には思っています。悪意を持った女このオーディションの場に居合わせて、それが改心に向かうのは少々ピーキーだとは正直思いますが、全体が丸く大団円になるのは「あかいくつ劇場」という場には合っている感じ。(なんせ横浜のお菓子ハーバーの再生前の有明製菓が縫い込まれた幕、人形劇にも強い劇場ですが、ワタシが前回ここを訪れたのは革命アイドル暴走ちゃんの2017年なので10年弱も経ちました)。
目利きの長女(江花実里)や鍋を振る次男(小山利英)や動画投稿でバズらせようとする次女(柴野梓実)は明るく、少々拗らせた長男(松本D輔)も含め、頑張る母親(ELI先生)を支える序盤は家族たちを描きます。そこに降りかかる女性客(牧野愛弓)からの災難。 中盤からは大家を演じたシューレスジョーの少々大げさにも見える力技で笑いを生みだします。保健所勤務なのに後半でよろめいてみたりする女を演じた板垣けゑて、オーディション会場の司会者を演じた こんのかつゆき、審査員を演じた野比隆彦や佐々木光弘といった面々が盛り上げての大団円。オーディションには落ちたけれど、店は盛り返すという予兆を亡くなった店主(中山朋文)が見守るどころかその場所に居るかのようなファンタジー。


最近のコメント