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2026.07.29

【芝居】「たとえばあの日のこと」螺旋階段

2026.7.2 19:00 [CoRich]
小田原で20周年を迎えた劇団、螺旋階段の記念公演。7月5日まで神奈川県立青少年センター スタジオHIKARI。110分。

認知症になった母親、娘が来ても娘と判らなくなっている。15年前、人が良く騙され酷い目にあってきた母親を、大きな会社の社長になっている姉の自伝に登場させるため、売れない漫画家が取材にやってくる。

老いた母親と娘の物語を起点に姉の自伝のために時間を戻し、他人が出入りしていたガヤガヤしていた頃の親子二人の不安と賑やかさと不穏さの入り交じった日々のリアルな感じと、漫画家が描きたいヒーロー物を混ぜて、生活と生活を脅かす脅威に親子二人で対峙する日々を描く、という荒唐無稽で描く物語。いわゆるネットワークビジネスというかネズミ講でのし上がった姉の物語がそれに重なります。妹すら食い物にしてのし上がってきた姉の自伝に妹を登場させるのは、いいことなかった妹へのせめてもの償いなのかもしれません。

メインの物語とは別に、漫画家が描いていた漫画「メカ赤ちゃんと僕」はあくまでもヒーロー物だけれど、こちらも終盤になって主人公の男を守るために倒されたメカ赤ちゃん、がメカだから修理できたけれど記憶は無くなっているという結末。主人公の男には残っている記憶がこれからも二人の関係を続けていく、という構図。主軸となる認知症の母親と娘もこの相似形になっていて、母親が記憶を無くしても娘は覚えているという映し鏡が切なく、重層さをもつのです。

小劇場らしいといえば小劇場らしく、荒唐無稽を力技と笑いでねじ伏せるよう。長年活動を続けてきた座組の役者たちのパワープレイを支えるこれでもかと詰め込まれた物語が合わさって作り上げられた上演。劇団を続けて醸成されるものは確かにあって、地元・小田原でも横浜でも定期的に上演を続けてきた確かな強さなのです。

漫画家を演じた水野琢磨は気のいい、しかも真摯なクリエータでどっしり真ん中に居続ける強さ。同級生を演じた根本健は悪役との落差の面白さ、母親を演じた田代真佐美の抑えた老人の細やかさ、娘を演じた村井彩子のかつての幼さと現在の母親を想う大人のコントラスト。姉を演じた岡本みゆきはがっつりヒールを強く。幼馴染みを演じた須藤旭は身体の大きさも合わせてヒーローという説得力、編集者を演じた川島ショウのちょっとヘラヘラした若者っぽさが可愛らしく、大家を演じた露木幹也は人情に厚いややヤクザものっぽい風体と合わせてリアリティを持ちます。

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