【芝居】「アカデミック・チェインソウズ」MCR
2026.6.1 19:00
[CoRich]
2022年に上演した女子高生の修学旅行を題材にした作品を改訂し、いつものようにほぼ新作としての上演。6月2日までスズナリ。120分ほど。
修学旅行のホエールウオッチングの途中で行方不明になり無人島にたどり着いた女子高生と教師たち。
傍目には明るく屈託がないように見えていても、もちろんそれぞれにモヤモヤを抱えて揺れ動くティーンエイジャーたち。 二人きりの友人関係から抜け出そうとしている側と引き留めようとする側とか、人のやりたく無いことをやってしまいがちで委員を押しつけられるけれど頭の中に飼っている妄想オジサン二人との会話をしているとか、友だちを引きつけておきたいから面白いことをし続けた結果奇行に近いことをしがちだったりそれに付き合ったり、パパ活だったり、自分が居なくても相手は大丈夫だと思い込んでいることだったり、圧倒的な知識量だったり、カースト上位は映える写真やら経験豊富を吹聴したりその中でちょっとズレたり、コミュニケーションの化け物よろしくここには留まらない可能性を全力で信じたり。 女子高生に限らずティーンエイジャーの時に抱えていたり抱えていなかったりという断片をきっちり14人の生徒たちに描き分け、人数が多くてもそのキャラクタをきっちり演じきる役者たちの細やかさを合わせて作り上げているのです。
引率の教師がひとり生徒たちの責任を負わなければならないという責任感。初演でどう描かれていたかは覚えてないけれど、この状況で何があっても生徒たちが責められることはなく、何かあれば責められるのは全面的に教師なのだという理不尽。修学旅行に行く前に辞めることを決めていたけれど、その眩しさに当てられるように教師を辞められない気持ちもまた職業としての教師の眩しさを感じるワタシです。終幕、一歩を踏み出せない生徒に先生が背負うからと背中を押す格好良さ。どちらかというとダメな男を描く事の多い作家だけれど、今作でのこのオジサンの格好良さ。初演に続いて演じた堀靖明は誠実さとキレテンションの両立で唯一無二の素晴らしさ。
いっぽうで生徒たちは無人島という理不尽な環境だけれど、どこか日常からの延長線上にいるかんじ。引率教師や頼りにならない船長ぐらいしか大人がいないから、彼女たちのコミュニティのダイナミズムがむき出しで描かれるようになっていることこそが今作の枠組みの面白さ。軸となるのは二人きりの友だちで一年以上を過ごしてしまった二人の駆け引き。他に友だちを作りたい桑田佳澄 と、 引き留めようとする市島琳香、このループから抜け出す糸口も持つ二人の安定感。大人からも頼られがちで役割を押しつけられがちな委員を演じた田中優笑はしかし何者にもなれないのだというジュブナイルな瑞々しさ。互いに想いを抱いていても、互いに自分が相手にとって必要とはされていないと思っている距離感を持つ二人を演じた川久保三子、井澤佳奈のがさつさと色っぽさの対比が面白く。
チケット代わりに渡される葉書大のカードは配役表が印刷されていて、もう少し詳しい挨拶やらスタッフクレジットやらはQRコードでというイマドキな感じ。配役表が印刷されていて渡されるのは大変ありがたいワタシです(もう若い女性を瞬時に区別するのは無理になってるんです、ワタシ。老化とも言うけれど)。一方で、webパンフというならそちらには顔写真と付いてると有り難いなと思ったりするけれど、ネットで写真載せるのはそれはそれでリスクなのかもしれません。
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