【芝居】「A Perfect Family」果報プロデュース
2026.5.22 19:30
[CoRich]
キャラメルボックスの俳優・山本沙羅が立ち上げた個人企画。
脚本 米内山陽子+演出 須貝英も楽しみにワタシは初見です。5月24日まで北とぴあ ペガサスホール。100分。
上京して会社勤めをしている女、実家の母親からは結婚を急かされているが、本人は気が進まないまま先延ばしにしてきた。恋愛も性愛の感情も抱けないのだ。ある日、地元で飲食店を営む叔父から縁談が持ち込まれる。困り果てた女は、友人の男に恋人を偽装して地元に挨拶に来て欲しいという。
故人である祖母、母、上京した娘という三代のに渡る女性の物語を核に描きます。アセクシャル・アロマンティックといった比較的新しく知られるようになった属性をフックに、それを穏便に隠しながら結婚を避けようとする若者たちの物語が物語の発端としつつ、隠蔽が破綻して全てが明らかになってしまってからの母親の戸惑いや感情の爆発を中盤から後半にかけてたたみかけていきます。
母親は祖母が営む食堂を継ぎたかったのにそれが許されず、長男である叔父が食堂を営んでいるということへの複雑な想い。祖母によって専業主婦という枠に嵌められてしまって、娘には上京も就職も許すことができたけれど、結婚しないどころか恋愛も性愛も持たないということに対する違和感とそれは「病気」だと断じてしまうことは致し方ないのだということが祖母の呪縛という背景によって示されます。祖母の操り人形のように頷かされ、手を上げさせられるシーンは印象的です。
多彩な人物の造形と説得力が素晴らしく。 祖母を演じたザンヨウコは働いて子供を育て上げたバイタリティだけれど、呪縛のもとになるという意味で物語のラスボス感すら漂わせます。二役を演じた木村玲衣はマイノリティである友人、地元で結婚し不満を溜め込み上京した女を詰めていくという二役のコントラスト。その夫を演じた畑中智行はあくまで軽薄に狂言回しのようにリズムを作り、物語を進める駆動力でマイノリティを異常と断じるいわゆる旧来の価値観を担う側もしっかり、それに対してその無理解に本気で怒る恋人を偽装する男を演じた池岡亮介はこの落差をキレッキレにきっちりと描きます。友だちになってくれたら偽装を請け負うという真っ直ぐさもよいのです。 父親を演じた山本佳希はどこまでも優しく、わりと激昂する人物の多い物語の中で安定感。主宰でもあり娘を演じた山本沙羅はある種の不器用さを感じさせる造型。母親を演じた小林千里、ワタシはおそらく初めて拝見した役者だけれど、後半からは物語の幹ともいえる迫力をきっちり背負いきる凄み。
マイノリティの生き方と旧来からの価値観との軋轢をえがきつつ現在のワタシたちが暮らす家族のありかたをきっちり詰め込んだ物語の見応えが見事なのです。
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