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2026.04.12

【芝居】「歌わせたい男たち」Periodista

2026.3.20 18:00 [CoRich]
初見の劇団です。作品自体は二兎社での初演を観ています。3月22日まで cafe & bar 木星劇場。1h40。

非正規採用で不安定ながらやっと音楽教諭として採用された女が、卒業式で斉唱予定の君が代のリハーサル直前に体調を崩している保健室でのワンシチュエーション。 君が代の伴奏を拒んでいた前任者はじめ何人かの教師が違和感を抱き斉唱に加わらなかったために、校長には有形無形の圧力がかかっていて、校長はなんとしても君が代斉唱を完遂したいし、それに同調する者もいる一方、すでに少数派となってしまった「左」の君が代反対派の教師とのあれこれをえがく2005年。二兎社らしいといえばらしい社会派に戸田恵子という稀代のコメディエンヌを組みあわせていました。

ずっと規模の小さい今作だけれど、濃密なワンシチュエーションはそのままに、おそらくセリフも余り手を入れていないのではないかと想像します。生活のために非正規採用でもしがみつかなければならない職を描く序盤(なんせ元シャンソン歌手ではあって歌えてもピアノは不得手という設定)はあの頃よりずっと深刻になっているけれど、校長とのほぼ二人きりの序盤は、丁々発止コミカルでもあって悲哀でもあって。この場での校長はもちろん歌わせる体制側なのだけれど、終幕で、それが過去は内心の自由こそ大切だと訴えることで、変質というよりは立場と時代に合わせて自分の心は守りながら、外形的にはどこまで譲るかの戦いなのだということの凄み。終盤の演説は悲壮的だけれど、現実の姿でもあります。

一方でまっすぐリベラルである教師、その信念はもちろん素晴らしいしそうありたいとも思うけれど、今作では左に固執するあまり清潔感とか身だしなみといったものに気を払えなくなってる風に見えてしまうのは、そういう意味ではとてもリアリティ(←ワタシの偏見です)があるといえばそうなのだけど、少々感情移入しづらい造型になっているのが残念。 初演でのこの役は近藤芳正で不確かな記憶だけれど髪振り乱した熱演だったとは思うけれど、感情移入できないということはなくて、そういう意味でフィクションだからこそ丁寧に造型していればと思うのです。まあ、ワタシどの口で言うんだっていう壮大なブーメランという気もしますが。

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