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2026.03.21

【芝居】「メヤグダ」ホエイ

2026.2.21 18:00 [CoRich]

ホエイの新作。津軽弁を駆使する作風だけれど、東京を舞台にするという新しいスタイルの90分。2月25日までシアター風姿花伝。

東京にある津軽県人会の事務所。別の県人会から独立して10周年でイベントを企画しているが、出演者のキャンセルがあり、津軽出身や津軽に住んだことがある職員たちは調整にドタバタしている。津軽の出身者やその家族が会員として出入りしているが、よく姿を見せる男は上京して三年経つがなかなか東京に馴染めないようだ。

インタビュー(紙背)によれば、東京を舞台にして地方を描くことで方言芝居の拡張として県人会を思いついたのだといいます。確かにありそうで今まで観たことがない設定で、おなじコミュニティなのに、グラデーションのある方言と標準語が飛び交うというのは新鮮な体験です。

地方で借金を抱え、親族とも疎遠になっていてどうにもならなくなって上京した男。少々粗暴で扱いかねたりはしながらも、その男の数少ない拠り所である県人会の人々はなんだかんだ面倒を見ていて。その男が突然亡くなってしまって明らかになること、新たな縁ができることが描かれます。ずっと一人でいて数少ないコミュニティでもうまく立ち回れないことでどんどん居場所がなくなるし、弱いのに酒を呑むことで繋がろうとすることなど、もうほんの半歩先に見えているワタシの姿のようでもあって身につまされるのです。

親族との縁が切れていて、「メヤグダ(迷惑だorありがとう)」「かまど消し」とも言われた男と、その葬儀を肩代わりする「お節介」で成り立つ県人会の互助会的機能の手厚さとその苦しさ、見つかった親族にもそれぞれの事情があって引き取れないこと。世間で言われる正しさよりも、そういう問題があることを提示して糾弾したりはしないということが、今の作家から見える地方出身者のリアルであり、優しさなのだとも思うのです。

男の死を描くシーン、湯飲みを落として割れ、それを片付けているうちいつのまにか骨上げへとシームレスに変わるシーンの凄さ、地方をもり立てるイベントなのに「嫁いびり」とも言われる「弥三郎節」という倒錯もちょっと面白い。亡くなった男の妹を演じ、この声量で圧巻の終盤を決定的に歌い上げた東さわ子が印象的。

上京して働く職員を演じた三上晴佳や中田麦平、あるいは津軽に住んだことがある職員を演じた赤刎千久子は、離れた場所で津軽を見る思いや津軽弁ネイティブさのグラデーションが見事でホエイに欠かせない役者陣。ここが好きで通う年輩の女性を演じた羽場睦子は時に正論、時に空気読めない場を転換させる力。宅配員を演じた尾倉ケントの巻き込まれ面白がる軽やかさ。所長を演じた河村竜也は軽薄でしかし人情に厚い人たらしな造型が実は珍しい気がするワタシです。上京して馴染めなかった男を演じた山田百次はそういう人が居そうな細やかな造型。

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