【芝居】「眠レ、巴里」華翔
2026.2.14 19:00 [CoRich]
1985年の事件をもとにした竹内銃一郎の1995年初演作。主に東京乾電池で上演が多いようですが、ワタシは物語そのものが初見です。2月15日まで、中野あくとれ。70分。 ベッドのある部屋、姉妹ふたりで部屋にいる。二人はバリに旅をしてホテルにいる、窓からはエッフェル塔が見えている。歌ったり、母親に電話を掛けたり、折り鶴を折ったり。
サラ金の借金の貧困によって姉妹が板橋の都営住宅の一室で餓死した事件をモチーフにしながら、しかしあくまで姉妹は電話も電気も恐らくは水道も止められた二人きりの部屋の中で 、行ったことのないパリの旅行を夢想し、あるいは歌ったり、折り鶴を折ったり。あまりにも厳しい現実のなかで夢見た生活のごっこ遊びは、マッチ売りの少女のみたご馳走のようでもあるし、変わらない絶望の時間をただやり過ごすためのゴドー待ちでもあるかのよう。
食事のシーンは空の調味料や瓶で、空の食器での食事、というのは芝居のお約束である食器だけの演技のようでもあるし、本当に食料が無い状態での悲しいごっこ遊びでもあって、芝居でやるからこその二面性があってちょっと心にダメージをくらうのです。舞台のトーンはあくまでも明るく、華やかな気持ちのよう。それまではパジャマ姿だけれど終幕では二人は華やかなおめかしした格好の落差は本当に切ない。
終幕前、サラ金の取り立てに来たと思われるヤクザ。泣きながらビールとハンバーガーをかき込む姿。二人の会話にしばしば現れる彼は、もちろん取り立てだけれど、姉妹にとってはもしかしたら唯一の社会との繋がりなのかもしれないし、見殺しにはされたけれど、ただ単に金のやり取りではなかったかもしれない両者の関係を想像してしまうワタシです。
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