2025.11.1〜11.3 [公式サイト]
だいぶ遅くなりました。2025年11月に開催された「劇作家フェスティバル岡山」(旧・劇作家大会)のメモです。2019年に大阪と上田で開催された劇作家大会から6年、久々の開催でした。会場は岡山芸術創造劇場 ハレノワで、ビル内のいくつかの劇場と会議室やオープンスペースでの開催。大きく広がる商店街からもほど近く、合間に店を巡ったりしながら楽しみました。
2025.1.1 10:30 「教育と演劇」(公式サイト)
IPU・環太平洋大学の大橋節子とCAT芸術文化観光専門職大学の平田オリザという二人の学長による対談形式で。IPUはどちらかというと教育を起点に感動とか不登校への対応という立ち位置、CATはどちらかというと演劇を起点にしながらも、演劇のスキルを観光業に繋げると立ち位置。どちらも東京一極集中は避けられない中の抗い方、のような話題。
2025.1.1 12:00 「世界記録に挑戦!デジタルアーカイブ ~戯曲にふれたい人おいでんせー!選びたい人も残したい人もこれで解決!~」(公式サイト)
劇作家協会とEPADによる戯曲デジタルアーカイブの紹介。前史となるオンデマンド印刷による21世紀戯曲文庫、戯曲アーカイブの歴史から始まり、権利処理の重要さと70年に及ぶ著作権の扱いや劇作家協会設立のキッカケとなった戯曲の対価の話などあちこちに話が飛びながら、劇作家の立場から「発見(と上演)されること」の意義が話されました。
2025.1.1 15:00 「演劇の現場でのハラスメントを考えるフォーラムシアター」(公式サイト)
演劇の稽古場でハラスメントが起きているという設定のスキットを15分、そのあとに観客が問題と考える場所で止めて改善をやってみる、という流れのフォーラムシアター形式。役者側は基本的には全力でもとのハラスメントを温存する方向に戻そうと仕向けるのでなかなかすっきりとは改善しないけれど、全力で考えて実践してみて何が起こるかを試して見るということは演劇の一つの機能なのが明確にわかるのです。
若い女性への演出家のグルーミング、疑問を感じても止められない男性、演出側につく年上、若い女性自身も拒否をしないというのが骨子で、いろいろな方が試して見ても明確には止められないのは絶望ではあるけれど、せめて支える側であることという消極的ではあるけれど必要なことだというのがワタシに見えたこと。
2025.1.1 19:00 「OKAYAMA movement 戯曲を通して見る日本現代演劇史」(公式サイト)
基本的にはほぼ、平田オリザの講義というか一人語りが目一杯の120分。
演劇が始まる前、定住商人と定住狩猟といったライフスタイルの変化から「暇な時間」が生まれ、現状に対しての疑問といった「歴史認識」が物語を生むという始まりから、能のように武士という支配階級のものになるもの、狂言や歌舞伎のようにあくまで民間のものとして都市で市民が金を払って観るものといったありかた。公社は江戸、大坂、京都、フランス、ギリシアぐらいでしか成立してなかったというのが面白い。そこからシェイクスピアでは自由恋愛はイタリアにはあるかもしれないという想像力の話だったり、日本では文明開化の中で美術音楽は教育に組み入れられたけれど、演劇は日本では教育に組み入れられなかったという話が面白く。
2025.1.2 10:00 「大人と高校演劇~明日講評するかもしれないあなたへ」(公式サイト)
大人が高校演劇という教育の現場の活動にどう向き合うかという対談。酷評するにしても納得させられる理由を示せないと教育の現場にはマイナスにしかならないという強い想いが心強い。観客の気持ちが動いた理由を言語化しようとするので高校生によるいわゆる生徒講評がとても頼もしいというのも嬉しい。(とはいえ、ワタシは高校演劇そのものは生の舞台では殆ど観ていないのだけれど)
2025.1.2 17:00 「文士劇リーディング『日本文学盛衰史』」(公式サイト)
2018年初演の平田オリザ作品を、劇作家たちによるリーディング形式で。台本を持っているとはいえ、動きはあって。しかし豪華なキャスティングで、いっかい限りゆえのお祭り感も満載。現在の風俗を織り込んだつくりなので、2018年から大幅に加筆修正がされていて、この体裁は上演のたびにアップデートし続けなければならないという呪縛とも。「オカンが共産党だちゅうねん、ほな共産党やないかい」みたいな(漫才の)ミルクボーイ風のやりとりも楽しい。踊り狂うラストも楽しい。
2025.1.2 19:30 「レセプション」(公式サイト)
参加する観客の側も参加出来るレセプション。アルコール込みの立食パーティ風ありつつ、いくつかの出し物もあったりして、あるいは久々の再会があったりもして楽しく。
2025.1.3 10:00 / 14:00「音声ガイドのつくりかたと、日本語字幕のつくりかた」(公式サイト)
映像では少しずつ増えてきた字幕、映像でもまだまだ少ない音声ガイドという二つのアクセシビリティ向上ための取り組みをワークショップ形式で。視覚だけの情報をどう音声で伝えるか、それは作演の意図を汲んだものにできるかは座組の一人になるのだという覚悟が凄い。音声ガイドの講師である檀鼓太郎は映像でも活躍しているトップランナーでこれを基準にするとなかなか高水準すぎて尻込みしそうなところはあるけれど。
字幕はまた文字数や約物の扱い、漢字表記か平仮名に開くかといった話題から。戯曲そのままを字幕にするというステップの更に先に進んで解釈を入れるべきかということはワタシはぐるぐると考えたりも。
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