【芝居】「KNOCK UP」神奈川県演劇連盟(合同公演)
2025.12.21 14:00 [CoRich]
神奈川県演劇連盟に加盟する役者が出演し、同じく加盟する作家のホンを、加盟する演出家が演出するというある意味お祭り的な企画公演。 80分。神奈川県立青少年センター・紅葉坂ホールでの千穐楽を拝見しました。
市民劇の会場、漁師から漁船を借りてセットに組み込み、漁師たちも出演させようという企画の劇場入りの日。演出家に電話があり、漁師たちがボイコットして、漁船も来ないという。雷鳴がとどろき、客席に海賊船が現れる。
舞台上に円弧状に客席、緞帳の向こう側も使いつつでの舞台使い。入場した観客は通常の動線ではなくて、ホワイエ横から楽屋口、楽屋前を通り舞台袖から舞台上に。バトン操作のためのロープやら、みたこともないぐらい太いスプリンクラー設備の送水管に興奮しつつの入場。
舞台装置も役者も揃わずピンチに陥った市民劇の稽古の場に、タイムリープしてきた本物の海賊たちと海賊船が現れ、ショーマストゴーオンに舞台が作られていくものがたり。緞帳の向こう、客席の一番奥に海賊船が現れたり消えたりな仕掛けをつくり、通常の客席の一番奥から舞台面まで走り回ったり舞台面と同じ目線で繰り広げられる殺陣の迫力。円弧状の椅子でなんとなく察しはつくものの、回り舞台いわゆる盆廻しがあったりと、舞台という装置の面白さを下敷きにしつつ、 演出家と海賊の長という二人の女性の友情というかバディ感の少年ジャンプ風味の疾走感で走り抜けて、スパッと海賊船が消えてしまうある意味後腐れのない終幕で、どこか爽快感すら感じさせるのです。
演劇連盟というある意味寄り合い所帯のプロダクションであるがゆえに、若くてアクション目一杯の役者も和服でしっとりしつつ迫力ある役者がいたり、キャラクタ的にもコメディリリーフ的に鈍くさそうだったり、はては海賊オタクで「あっち側」に行ってしまったりと多彩。友情を育むというシンプルで強固な核がある故に、それ以外の遊びが奥行きを持たせるようで楽しく、お祭り感もあるのです。
演出家を演じた環ゆら 、海賊の長を演じた仲満響香がバディ感を醸していく過程こそが今作の核できっちり。作家を演じた牧野愛弓の巻き込まれキャラがコミカルで楽しく。海賊好きオタクな役者を演じた今井勝法の職人としての役者と好きなものにはまり込んでるプライベートのギャップが楽しい。海賊に捉えられていた男を演じた 野比隆彦は、芝居が楽しくなって、そこを突き進む感じが、まさに「演劇連盟」的なキャラクタ。演出をかねて舞台監督役を演じた 中山朋文 は舞監ゆえの頼りになる兄貴風が頼もしい。
紅葉坂ホールは三ヶ月の改修に。その最後に舞台裏がみられたのも嬉しく。


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