【芝居】「マイクロバスと安定」キューブ
2025.11.30 13:00 [CoRich]
竹中直人と生瀬勝久による竹生企画。4回目だそうですが、ワタシは初見です。楽日。120分。本多劇場。行けなくなった友人に譲って貰ったチケットは最前列中央でした。
小惑星が地球に激突して人類が滅ぶと発表され、一時期の大混乱はおさまったものの、公共交通機関などの治安はまだ回復していない。
残り3年をどう過ごすかそれぞれに暮らしているが、 中にはそれを信じず生き残るとして淡々と過ごす者もいる。
売れた演出家の自宅兼稽古場。それでも公演を続けようと一人芝居の稽古に女優と演出助手が通っている。ある日、演出家のかつての劇団の仲間が娘を連れて三十年ぶりに会いにくる。
父娘が訪れる春、役者になりたい娘が通い続ける夏、稽古を続けていた一人芝居の女優が降板を伝えられる冬、2年後に別の役者で行われたアトリエ公演後に再会という四幕構成。売れていて自宅兼稽古場を構える演出家と、かつての仲間だが芝居を辞めて別の仕事をしている男の間にある三十年のわだかまり、じっさいのところそれはごく小さなことでしかないけれど、そこにわだかまりがあり、緩やかに緩んでいくという過程が描かれることが心に沁みてしまうのはワタシも歳をとったものです。
あと3年で全人類が滅び、その対処法はないという諦観な設定を嵌めることで、ここまで生きてきて、ここからは「残り」に近い老年期に差し掛かる二人に対して、稽古場に通い続ける娘、演出助手、隣人などの若者たちは、まだまだ人生があるはずだったのに、あと3年でスパッと終わらせられてしまうわけで、この二つの世代の対比はかなり強烈です。 人類が滅ぶというまではいかなくても、なんとなく経済成長とその余波で人生を終えられそうな世代と、経済的にももしかしたら戦争というあたりまで含めて激動の時代を生きていくことになるかもしれない世代の対比のよう。 一人芝居の稽古を続ける女優はその間の世代で、長く真面目に稽古をしてきたのに急に切られてしまうということは、失われた何十年かと呼ばれるあまりに酷い扱いの世代を描いていると感じるワタシです。
演出家を演じた竹中直人、父親を演じた生瀬勝久の二人の溝があるのに丁々発止な距離感が心地いい。若い演出助手を演じた戸塚純貴はワタシにとっては今年テレビドラマで数多く拝見したという役者だけれど、若く素直という雰囲気が好きなのです。 怪しい隣人を演じた浜野謙太のかき回す感じ、楽しい。


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