【芝居】「ふぁいやホーム 淑」ボタタナエラー
2025.6.15 15:00 [CoRich]
ボタタナエラーの新作。80分。6月15日までテルプシコール。
認知症患者のためのグループホーム。一人暮らしの親の入居のために見学に訪れる娘と息子、利用者にも 新人スタッフが夜勤を行いながらペアのスタッフから研修としてそれぞれから話を聴く。 酒入りチョコレートが引き金になった利用者は若い頃、チンピラが仕切り怒号飛び交うカラオケパブでアルバイトしていた女優志望の時代に戻る。 だが、暗殺者が現れて。それは夢と現実の狭間で現実に戻る。
5つの場面が列挙されていて、短いスケッチを繋ぐスタイル。作家自身の介護経験を組み込んでいるよう。 全体としてはファンタジーではあるんだけれど、そういう介護経験っぽいリアリティが所々に顔を出すのです。認知症患者が複数集まれば、どこに地雷があるかわからない怒りっぽさとか、帰りたがったりということにぎょっとするのもそうで、下見に訪れた子供たちからの視点ならそのリアリティ。あるいは新人スタッフを軸に、同じ事の繰り返しゆえのスタッフの気分転換とかペース配分、恋心といった人間臭さ。イマドキっぽいのは有名人からのなりすましから守るための利用者のスマホを預かるかどうかというスタッフたちの議論のシーン。確かになぁ。
物語の中心と感じるのは、利用者が若い頃に戻る後半の場面。チンピラが仕切るちょっと治安悪そうなカラオケパブ。ここまでとは打って変わって、凄んで大声上げるチンピラたちをコミカルに。女優志望でレッスンに通っていた女、ハウスマヌカンがどんな仕事なんだろうと夢想したり、30歳はもう「終わる」とすら言ってるけど、彼女はその倍以上生きることになるわけで、そこの対比もちょっと面白い。 「千円ちょうだい女」なるいわゆる寸借詐欺の女みたいに、ちょっと外れモノがいたりしても、広島弁で適当に受け流して帰す人々だったり、御法度のシャブでシノギに取り込もうとしたり、暗殺者が現れたりとめいっぱいファンタジー。ちょっと緩くて、ちょっとやんちゃで雑な時代の情景もまた昭和のひとつのかたち。
続く「覚醒」と題されたシーン。蛍光灯の地明かりで役者が若者から老いた姿に戻る着替えをそのまま見せるのは夢と現実の狭間で、現実に戻れば認知症の老人、 若い時は先があったけど老いた今は先が無いからこそ「今を生きる」のだということばは力強いし、でもそれが聞き取れない、というオチもちょっと切ない。
ケアマネを演じた平吹敦史と所長を演じた浅季愉女美の恋心がちょっと可愛らしい。若い頃はやんちゃだった利用者を演じた辻󠄀川幸代の若い頃と老いてからのスムーズな行き来がコミカルで奥深い。
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