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2025.07.05

【芝居】「骨と肉」JACROW

2025.6.19 19:00 [CoRich]

大型家具販売店での父娘のお家騒動を描いた 2017年初演を改定再演。115分。6月22日までシアタートラム。そのあと7月6日まで愛知。

一代にして規模を拡大してきた家業のインテリア雑貨店。社長が不祥事の責任をとり会長となり、コンサル会社出身の長女が社長を継ぎ家族会社から公に開かれた会社に形を変えようと手を打つが業績は低迷している。 会長は創業の地に新規に大型店舗を出店するよう取締役会に提案するが会社の財務状況はそれを許さないと社長が却下する。会長は自分に従う社内の取締役たちとともに社長解任決議を提出し長女を社長から解任し再び自分が社長になる。ここに長女と社外取締役たちのチームと、父とこれまでの社内取締役たちの殴り合いが始まる。

初演でもコミカルな雰囲気は存分にありましたが、今作はそれを突き詰めて、リアリティよりもプロレスのリングを模した舞台に、リングアナウンサーによるコールで登場人物たちが派手なリング「スーツ」を纏って現れるという遊び心、三味線をふた竿で盛り上げるライブな音楽もあわせて勢いがあって、エンタメとしてより昇華しています。

大塚家具を巡るお家騒動というモチーフの上演ですが、雰囲気はずいぶんことなります。現実の方は、2017年の初演時点でまだ現在進行形であった父と娘の争いは父親の別会社匠大塚は残ったものの、長女が社長に返り咲いた大塚家具の方は2021年にヤマダホールディングスの完全子会社となり、実際のお家騒動としては決着がついています。今作は初演と同じぐらいの時点つまり2017年時点までのクーデターによる二度の社長交代を巡るあたりまでを描いていることは変わらないのだけれど、初演ではジャンヌダルクよろしく会社をより開かれた公器にしようとする長女にバイアスのかかった描き方でしたが、今作ではもうすこしフラットで、それぞれの立場の言い分と、それぞれが頑固で相手の云うことを聞かなかったからこうなってしまったけれど、「骨肉の争い」かと思っていたら「骨と肉の両方が必要ではなかったか」と両論併記的な着地点。どちらかというと長女に肩入れしたかったワタシ個人としてはちょっとバランスが変わった感じ。

両論併記になった結果かどうか、父親が娘を想うこと、娘も父親に育てられたことを自覚している回想のシーンはより効果的に。元々は家具店だった舞台をインテリア生活雑貨店に変えたことも巧く機能しています。ふたりが家業と商売を同じように思い、センスがあったがために、また家族だったからこその泥仕合になってしまったこと、もちろん互いには想いがあるけれど、頑固故にゆずれないところがドラマだったりするのです。

初演に続き父・娘を演じた谷仲恵輔・川田希の二人はより広い舞台で大声を張り上げ続ける肉体的にハードで高いテンションの舞台をきっちりと埋め切ります。昼行灯な信金を定年退職して就いた社外取締役を演じた中村ノブアキの静かな、会社を思うキャラクタは初演とはフェイズが変わった感じでより深み。日替わりのキャストはリングアナと終盤での(骨と肉、というタイトルコールに近いセリフを担う)記者という役、拝見した初日の土田英生のリングアナがなかなかカッコイイなと思ったりもします。

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