【芝居】「ハッピーバースデー」劇団チリ
2025.6.27 19:00 [CoRich]
ブラジリィー・アン・山田による立川での上演団体・劇団チリの短編集。即興の上演と交互上演で6月29日まで、コトブキヤホール。90分。 作家自身による解説がありがたいけれど、読み取れてないなぁと自覚するワタシです。無念。
万引きを疑われスーパーのバックヤードにつれてこられた女。アルバイトは万引きを目撃したといって許してはいけないと訴えるが、店長は女に甘い「盗む女」
仕事の続かない女と友人が突然中年男に声をかけられ、父親だといい、女のことは何でもしっているという。日常の様々をやけに知っているがそれはSNSに投稿しすぎるからだといって信じて貰えないがいよいよ信じてほしいといい「黄色い車」
米国帰りの男を自宅に招いた男はもうすぐ帰ってくる妻を驚かせようという。最初は隠れていて、夫がコーヒーを飲んで苦しむから、そうしたら男に出てきてほしいという。妻が帰宅し、打ち会わせ通り男は苦しみだす。が、本当に気を失ってしまう「サプライズ」
同じ誕生日の夫婦、が明日は何をしようかと打ちあわせている。今ひとつもりあがらない。最後だから普通にして凄そうというが「ハッピーバースデー」
こちらは台本2人から3人のコンパクトな登場人物の短編集4本という構成は気軽に見やすい。
「盗む女」は万引き女を庇う店長という構図。ラード(頭文字Lなんだ..初めて知った)、アイスクリーム、卵と脈略のない品物からの「匂わせ」だけれど、果たしてどれが嘘なのか、謎めいたままに終わる一本。いくらでも膨らませられる物語の骨格、という感じでむしろ興奮してしまうワタシです(たぶん多数派じゃないことは自覚しつつ)。女を演じた金沢涼恵はあくまでイノセントな造型ゆえにむしろ怖い。店長を演じた中村哲人の優しげとアルバイトを演じた森山光治良の吠える感じの対比もいいのです。
「黄色い車」は単なるストーカーのヤバいオジサンのコミカルな話かと思っていると想像以上にヤバくてもはやホラーのような物語。子どもの頃にというタイトルこそが完全に事案で怖い。この怖さを序盤で感じさせない入り口にした本井博之の緩さが後からジワジワと怖い。つきまとわれる女を演じた青木絵璃(間違ってるかも..)はあくまで無垢でありつづけ、守る友人を演じた小川ともみは心強い。
「サプライズ」は驚かせようとコーヒーで苦しむイタズラを仕掛けたら、それどころではなくなるミステリー風味。冷え切った夫婦の関係を背景にそこからドロドロになりそうなところを寸止めするのは巧い。妻を演じた小川夏鈴は当て書きと言われるクールビューティをまさに体現、夫を演じた池村匡紀は仕事ができなくなってるゆえの優しげみたいな細やかさ。外国帰りの男を演じた山川恭平は対比としてマッチョで力強い。
タイトルにもなっている「ハッピーバースデー」は二人芝居。休日前のゆるいひととき、女がいろいろ提案して、男は否定しないけれど積極的でない感じ。別れると決まっている明日いちにちにどれだけのエネルギーをつぎ込むかという想いのギャップの空回り、でもきっと前は互いに熱烈であったと思わせる奥行きは決して若くはない役者二人(仲坪由紀子・成清正紀)の濃密さゆえに醸し出されていて、もう物語はどうでもいいぐらいに、二人のやりとりをずっと見ていてもいいと思わせるのです。
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