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2025.07.08

【芝居】「ザ・ヒューマンズ ─人間たち」新国立劇場

2025.6.25 14:00 [CoRich]

スティーヴン・キャラムのヒット作、日本初演。 2021年公開の映画版があります。(U-nextで配信)。 6月29日まで新国立劇場・小劇場。120分。自分の勘違いで15分ほどの遅刻。そのあと、愛知・大阪。

若いカップルがニューヨークマンハッタンの古いアパートで同棲を始めることになり、女の姉と、フィラデルフィアから女の両親と同居している認知症の祖母を呼んで感謝祭のささやかなパーティを開く。
カップルの女は作曲の仕事の夢を追ってバーで働いている。その恋人は今日の料理をずっと準備していた。 姉はニューヨークのオフィスで働いている。母は40年ちかく勤めているが、社会のいろいろに強い興味を持っていてことあるごとに子供たちにそういう問題についてのメールを転送してくる。父は私立学校に勤めて28年、湖の近くの土地を買っていて別荘を建てて移り住むといっている。
古いアパートで近所の物音、ランドリーから聞こえてくる機械音もうるさいが、しかしパーティは始まる。

舞台では一階と地下一階の二層になっていて、上下は螺旋階段でつながり、それぞれのフロアに玄関があって、廊下に設置されたエレベータも使える全体が見えています。映画版ではカット割りされており二層でほぼ全体が見渡せる感じではありません。後日・演出がラジオ番組で語ったところによると、元々は上下別の部屋だったものを繋げる形にリフォームした、ということのよう。

楽しく感謝祭に集まった人々だけれど、門出のはず家は薄暗くて老朽化しているというところからして不穏だけれど、パーティが進み、それぞれが抱えていてあまり言いたくないことを吐露していくにつれて、どんどん不穏さを増していきます。長女は華やかな職場で働いているけれど、大病を患って休みが多いことを理由に遠巻きに解雇を匂わされているし、レズビアンのパートナーとも別れたばかり。次女は作曲の仕事を志すがその職には就けずにいてバーでの仕事ををしているし、仕事に就くための推薦状をうまくかいて貰えてない。母は長く勤めた会社で信頼を得ているのに、20代の上司のもと、給料はやすく正当に評価されていないと思っている、父親も長く学校に勤めて施設長にまでなったが、実は解雇され、年金が受け取れなくなっている。全てが巧くいってないことがあらわになるにつれて、積み重なるのは将来への不安。

実際のところ、物語として何かが解決したりどこかに落ち着いたりということはなくて、停電になり、奇妙な音は続き、祈り続け、しかし扉の向こうには光が見える、という終幕。何も解決してないけれど、彼らはそれでもこのままの状況を飲み込み進んで行くのだろうなと感じさせるのはなぜなんだろう。絶望で立ち止まってもおかしくないのに、そういう感じではなくて。それが不思議なのです。

長女を演じた山崎静代はキャリアがある女性だけれど体調悪い、という造型をリアルに。 母親を演じた増子倭文江は社会問題のあれこれのメールを転送してくる元気さだけれど、身内だとうざったいなぁと思わせるある種の圧。 父親を演じた平田満は穏やかにしかしいろいろ抱え込む感じが身につまされ、 次女を演じた青山美鄕とその恋人を演じた細川岳、できる範囲で精一杯もてなそうという若さ、一生懸命さがとてもよくて。 認知症の祖母を演じた稲川実代子はほぼ一箇所を除いて台詞らしい台詞もないのだけれど、その一点の瞬発力で内に秘めている感情のマグマをかんじさせます。

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