【芝居】「即興の穴」劇団チリ
2025.6.27 14:00 [CoRich]
劇団ブラジルのブラジリィー・アン・山田が、劇団チリとして立川での開催を続ける即興公演。コトブキヤホール。105分。 短編公演およびメンバーを替えた同様の即興公演を組みあわせ交互上演。6月29日まで。
(1)「ワンワード」(二人の役者が1文字ずつ発声して単語を構成)
(2)「双子エチュード」(二人(=双子)が一人の人格として一文字ずつ発話し、もう一人と会話を繋げる。)
「監督インタビュー」「失踪以来久々に家族に会う 女」
(3)「スピットファイア」(二人の会話をしているが、もう一人が片方に時々肩を叩いて告げられた単語をその瞬間に言って会話を繋げる)
「部下のミスを指摘」「迷子センターの子ども」「愛の告白」「三者面談」「見舞い」
(4)「タイプライター」
「俺中心の世界であれ」
(5)「ペーパーズ」(客からあらかじめ集めておいた紙をランダムに引き、書かれた単語を言うことを挟みながら会話を成立させる)
(6)「回想エチュード」(会話をしている二人、他から一人カットインして片方だけ入れ替わり、過去の回想シーンを行って物語を成立させる)
「体操」「毛」「(千葉ロッテ)マリーンズ」
役者たちの即興を見せる上演シリーズ。戯曲で一定のクオリティが確保出来る通常の上演とは異なっていて、 役者の瞬発力という意味では、自由に勝手なことを言ってぶっ飛べば面白くなるかといえばそうとも限らず、大喜利よろしく「うまいこと」いえば感動を生むわけでもなく。役者の訓練の意味は勿論あるけれど、観客としてはある程度のクオリティをどう担保されるか。いまのところは、主宰と集めた役者たちの名前を期待して。稽古回数が少なめで拘束期間が短めゆえに、年齢を重ねたり事情があったりと演劇の公演への出演をが減っている役者を持続的に拝見できるのが現在のワタシが観に行くモチベーション、つまりまあ、まんまと乗せられているのです。
主宰・ブラジリィー・アン・山田がそれぞれの上演後に、どういう物語を運びをしようと役者たちが考えていたかを読み取りコメントを加えてもらえるのは有り難い。少なくとも客前ではいたずらに批判しないでいいところを拾い出すのも安心感があります。公演までに役者が何を考えて動けばいいか、ということが即興の稽古ということなのでしょう。
「スピットファイア」は役者が意図的に投入する言葉かで紡ぐ故に、投入する役者と受ける役者の組みあわせつまり、どこまで「外した言葉」を入れても大丈夫か、あるいは「意図した方向に持っていってくれるか」といった信頼感があるかが面白さ。 もちろん初顔合わせではないはずなので、組み合わせは演出の腕、なるほど。たとえば「迷子センターの子ども」(関森・松下・竹原)をわちゃわちゃとした感じも嫌いではありません。「六文銭」(佐藤(拓)・関口・関森)はちょっと混乱してイントネーションの違いに拘泥してしまったかなと思ったり(偉そうなワタシ。スミマセン)。
「ペーパーズ」は観客があらかじめ書いた紙をランダムに引いてという偶然の要素が多め。偶然が数多く突っ込まれるおかげで、奇跡が起こる可能性を上げる枠組みですが、役者の力量はどのタイミングで紙を引き当てて偶然を差し込むか、あるいはそれまでの物語から偶然引き当てた言葉から現れる乱反射のどれを拾うかみたいなあたりに残酷にも見えてしまうと思うワタシです。「気合いで行けばなんとかなる」で始まる一本(金川・松下・竹原)はそこから遭難、鬼の物語とくるくると遠くまで連れて行ってもらってワクワクと楽しい。別の一本はせっかく偶然ひいた言葉を「そんなことより」で転換してしまうのがちょっと勿体ないと思ったり。「今日は最高だ!」で始まり人生終了の飲んだくれの話(関口・シャンソン姉さん・中川)はサスペンスのような楽しさも。
「回想エチュード」がもっとも複雑な構造で、メインの二人の物語に対して、それぞれの人物に対して過去の物語を回想として付け加えて奥行きを増やしていて見応えがあります。中でも「毛」の話(佐藤(拓)・牧山・大塚・中川・シャンソン)は禿げて俳優生命が突きそうな男が不妊のリスクみたいな展開、あるいはほぼスキンヘッドな姿で毛の有無はどうでもいいと笑わせながらいいながらそこまでを整理する中川智明が巧い。「マリーンズ」については主宰が観客が入ってもいい、といったことばを真に受けて飛び込んだ観客が(男の側の不妊なのだという要素を入れることで)奇跡的に巧いシーンを作ったとは思いますが、何者なんだろう。他の公演でも客席でまあまあ大声で笑っていらっしゃる声とタイミングに聞き覚えはあるのだけれど。
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