【芝居】「Girls' Rush」スクランブル
2025.6.12 14:00 [CoRich]
2019年の「Men's Rush」(未見)と対をなすという劇団スクランブルの新作。90分。6月15日までシアター711。
結婚を考える富豪の女。恋人の男は返事が曖昧で延ばし延ばしになっている。女は過去に恋人と関係のあった女たちを集めて、男の全てを聞き、縁を切ってほしいと考えて女たちを一つの部屋に集める。
一人のモテ男に渦巻く愛憎戦記ともいうべきさまざま。初恋の人、学生の時に恋に落ちた教師、初めて同棲した女、若く諦めない女、心の隙間を埋めるため割り切った関係の女と、男の成長に寄り添った風な「歴代の」女たち。もうなんとも思ってなかったり、過去の想いが再燃しそうになったり、まだ粘り続けていたりと想いのグラデーション。一人の男を取り合う(取り合わない)女たちの構図ではあるんだけど、男の友人なるイケメンと、初恋の女の現在の恋人で思うあまりにここに紛れ込んだ空回りするイノセント(な男)という二人の人物を加えることで女たちのベクトルが一人にむかう放射線状というよりは乱反射してドタバタになる、といった感じに組み立てられています。 お嬢をサポートし暴走をたしなめる使用人を除けば、今作の登場人物は気持ちがいいほど自分の欲望に忠実ですし、男のことを告げ口すれば金が貰えるという甘言にいとも簡単に乗っかったり、紛れ込んだイノセントにしたって、恋人を守りたい一心だけど方向が間違いがちといったぐあいに、良くも悪くもペラペラに造型されているのだけれど、その関係をめまぐるしく変えながらこの時間の中にこれでもかと詰め込むことで立体的にみえてくるという不思議。
モテ男を演じた左良拓司はもの凄く声が良くて、モテ男に数段の説得力。それなのに筋金入りなダメ男な感じも楽しい。 彼女へのヤキモチから潜入した男を演じた中根道治は、卒アルと比べて出席者を確認みたいなシーケンスを序盤で繰り返したり「空回りする誠実さ」が巧いし、未だ実家住まいとか甲斐性無しとか物語にそれほど貢献しないような情けない要素を山盛りで背負うように見えてしまうというのはルッキズムだけれど、楽しい。金持ちの女を演じた環ゆらは金はあるけど浮世離れという昭和の女優のような造型なのに、結婚に関してだけ目の色変わるというのは役としてどうなんだと思わなくはないけれど、本当に乙女で可愛らしくてこの振り切りが素晴らしいのです。 初恋の女を演じた犬吠埼にゃんは、恋人の潜入した男とのバカップルのままの持続力の凄さに加え、昔の恋人を思い出す瞬間の表情の解像度の高さ。使用人を演じた岡本みゆき、いくらなんでも70歳は老け役に過ぎるとは思うけれど、唯一の常識人で謎の力を操るという謎めきがたのしく。
これまでの彼女たち(磯村アコ=恩師、中島玲奈=初めて同棲、竹内もみ=割り切った関係、新菜鈴果=若い女)を衣装で色分けしているのは戦隊ヒーローっぽく判りやすく認知能力落ちがちで助かるワタシです。青はクールの奥に欲望、橙はヤンキー風で本当に想ってる、白のフラットに割り切り、茶のこれから!というカラーコードかしら。若い男を演じた山石卓人はいろいろクールだけど抜け目ない、序盤の可愛らしさとギャップの楽しさ。
| 固定リンク
「演劇・芝居」カテゴリの記事
- 【芝居】「温泉旅館湯けむりの里〜取らぬ狸の皮算用の巻 リターンズ」麦の会(2026.07.11)
- 【芝居】「THE GAME OF POLYAMORY LIFE」趣向 (Aキャスト)(2026.07.11)
- 【芝居】「あしゅらステーション 靜」ボタタナエラー(2026.06.30)
- 【芝居】「アカデミック・チェインソウズ」MCR(2026.06.29)
- 【芝居】「川ひとつ向こうの、はるか遠い街。」乙戯社(2026.06.13)


コメント