【芝居】「ENCOUNTERS with TOO MICHI」THE ROB CARLTON
2025.6.12 19:30 [CoRich]
京都を拠点とする劇団の新作。東京では5回目だそうだけれどワタシは三鷹に続いて2回目。6月15日まで赤坂RED/THEATER。80分。
とある小さな島国の政府・シチュエーションルームに集まるプレジデント、セクレタリー、ジェネラルたち。島の上空に国全体を覆うほどの大きさの円盤状の未確認物体が飛来している。プレジデントは非常事態を宣言するが、物体からは何のコミュニケーションや攻撃がなく、目的が一切不明で、膠着状態に陥る。世界中でここだけに飛来しており、世界は注視している。
何も起こらないまま、コミュニケーションも攻撃ということもないままそのまま数ヶ月が経つ。国民の緊張感は薄れむしろ日照がないことで政府への不満が高まる。世界の注視ももうされなくなってしまった。
つまりは「未知すぎとの遭遇」というタイトル。確かに映画「未知との遭遇」だって意図がわからないまま飛来した飛行物体が、みたいな話ではあって、しかもTOO MICHの音感がTOO MUCHに似てて、音だけなら違和感がなく巧く名付けたものです。 物語としては、この膠着状態は終盤まで全く動かないのだけれど、これがどういうことなのか、という種明かし的なことはさらっと(それとはわからないように)序盤で早々に種明かしをしてあって、舞台の大部分は細かくすれ違う会話から生じる笑いを駆動力に進みます。序盤で一度丁寧に説明するから終幕はさらっと種明かしするだけで爆笑を生む、というのは巧いなぁと思うのです。
最後の最後で伏線を張っていたオチを回収した上、さらに「猿の惑星」かと思いそうなどんでん返しがすごい。
プレジデントを演じた森下亮はイノセントで誠実な造型と、時々鋭く突っ込む瞬発力で魅力的な人物を作り上げます。 ジェネラルを演じたボブ・マーサム(村角太洋)はおそらく役者の降板に関してもっとも忙しかっただろうなと思います。もしかしたら多くのセリフを背負うコトになってるんじゃないかと夢想します。
事前のパブリシティなどではメンバーの2人+客演の2人での上演を予定していたようですが、メンバー(村角ダイチ)が舞台は降板し、当初予定されていたプロフェッサーを調査のためこの部屋の外の現場に居るということにして、音声での出演というかたちになっていますが、わざわざ言われなければ気付かないほどに自然に構成されているのはたいしたもので。前作もそうでしたが、わりとかっちりしたスーツや制服を着た「働いている人」の現場でのコメディというのもありそうでなかなかない感じでスタイリッシュなのです。
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