【芝居】「フルナルの森の船大工」タテヨコ企画
2025.3.22 18:00 [CoRich]
タテヨコ企画の新作はなんとファンタジー風味。115分。3月23日までシアター風姿花伝。
気がついたら森の中、出逢った旅人と訪れた船大工たちが暮らす村。海も川もないのにみな大きな船を誇りをもって作り続けているが、国吏がやってきて、戦争が始まり、国に協力するようにと伝える。
あこがれて教師になった女は部活の顧問となるが、専任の監督は暴力が常態化している。親からの苦情を受けるが、学校は守ってくれない。
追い詰められる若い女性教師の現実と、船大工たちが楽しく仕事をして暮らす村に訪れた危機をめぐるファンタジーを並行して進める物語。 音楽がたくさん組み入れられていて、楽しげに始まるファンタジーの序盤。使うアテの無い大きな船を楽しげに作り、歌と宴会にあふれていて、御船祭りを楽しみにしている人々の姿はまるで白雪姫の小人たちのよう。国吏が戦争への協力をもとめ、自由が奪われていくさまのきな臭さ。国吏も心の中では意味が無いとおもっているのに、役割がそれを許さず、人々が暮らしにくくなっていくこと。
ファンタジーに挟まるように、教育の現場で追い詰められる若い女性教師の現実の姿が語られます。モンスターペアレント、理解のない同僚や上司、部活の外部監督の理不尽。思い詰めた挙げ句に、と言う終盤にいたって、この女教師と彼女が憧れていた恩師、飼っていた猫の三者がファンタジー世界では旅人としてこの世界を訪れていたのだということに繋がります。徐々にこの世界で生気を取り戻していく姿。 亡くなった人々の世界、であるこの世界からの帰還を果たす終幕。
ファンタジー世界の問題は自力で船を手放すことで解決し、現実の女性はこの世界で生きる力を取り戻したところで、恩師や猫のことばによって「死にかけていた」ことから帰還を果たすので、正直にいえば、現実の困難とファンタジー世界で起きる事件は直接には繋がりというわけではないと感じるワタシで、折角ふたつの世界で描いたモノのリンクが女性ひとりの行き来だけなのはちょっと勿体ないなと思ったりもしますが、それでも二つの世界、それぞれの物語はそれぞれに見応えがあって、一本分の時間で二つの物語とも云える濃密さ。
女性教師と旅人を演じた椎木美月は真面目で戸惑う現実の人間の姿を等身大に。ネコを演じたリサリーサは、多くの歌唱シーンでの確かな力。恩師を演じたいまい彩乃や、母親とカシラを演じた舘智子の抱擁するさまが物語の懐の広さを。国吏を演じた西山竜一はヒールに見えて、その実国に対する疑問を内包する奥行きのある役の説得力。
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