【芝居】「煙に巻かれて百舌鳥の早贄」肋骨蜜柑同好会
2025.3.30 16:00 [CoRich]
肋骨蜜柑同好会の新作は一軒の焼き鳥屋をめぐるヤクザと地上げの物語。120分。3月30日まで中野スタジオあくとれ。
ライターを名乗る女が、嘘っぱちだといって語る。
百舌鳥ヶ原(もずがはら)という街の歓楽街、大きな駐車場の奥にぽつんと一軒ある焼き鳥屋。穏やかな三代目。父親に売られたあとにヤクザに引き取られ育てられ、その後店を継いで質の悪い常連客を出入り禁止にしたり、味を向上して店を守ってきた。結婚した妻の兄は市議会議員。暴力団の抗争はいったんおさまってはいるが、店のおしぼりはヤクザのシノギを買わされている。ここの再開発の計画があったが頓挫しているが、新たな計画がもちあがったりしている。
1989年から2005年まで、基本的には同じ一軒の焼き鳥屋を舞台に進む物語。抗争はなりを潜めているけれど、おしぼりとか怪しげな演歌のカセットなどそれぞれのシノギはある小さな街、という前提の枠組みから、縄張り争いや不動産ブローカー、休業していたスナックを助けたり、市議会議員も出入りしていたりと、小さな街にありそうな込み入ったさまざまがギュッとこの小さな店に凝縮。店を守るために客を選び、味を磨き、親戚と助け合い、暴走族上がりのアルバイトを雇って穏やかに日々を暮らしている前半は物語として焦点が捕らえづらいかんじだけれど、抗争を中断しているヤクザのシノギをはっきり断ったために、始まる嫌がらせで積み上げてきたものがどんどん崩れていく後半の凄みと怖さ。とりわけ、刑務所から出所し再び歩みだそうとしたときに更に大切なものを失ってしまう絶望感。多くのものを失い、積み重なる怒り、つまりアウトレイジそのものの終盤は恐ろしく、圧巻なのです。
店主を演じた藤本悠希は穏やかで感情を抑えているようなところに爆発する終盤の凄み。店員を演じた岡村梨加はいいかんじのヤンキー感。ヤクザを演じた三尾周平のインテリヤクザっぽいオーラ、対比するように故人のヤクザを演じたフジタタイセイの伝統的なヤクザっぽさ。常連客を演じた今井勝法の人の良さ、終幕の家族を守るために離れてしまう無念。
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