« 【芝居】「なにもない空間」劇団チリ | トップページ | 【芝居】「夜明けのジルバ」トローチ »

2025.03.01

【芝居】「ユアちゃんママとバウムクーヘン」iaku

2025.2.23 14:00 [CoRich]

iaku主宰の横山拓也が2024年に発表した同名の短編をリーディング公演として立ち上げる試み。70分。2月25日まで新宿眼科画廊 地下。

ドイツで本場のバームクーヘンの取材を終えて帰国したライターはその足で息子のサッカーチームの応援にかけつける。県大会を決めたコーチとチームの夏合宿の下見を一泊二日で引き受けることになった。が、当日現れたのは息子のチームメイト・ユアちゃんのママだった。

親のサポートを前提として成立させているいまどきの地域クラブスポーツを下敷きに、比較的時間が自由になるからと夏合宿下見を引き受けることになる男が「巻き込まれた」物語。男二人のはずが、チームメイトの妙齢の母親との一泊二日の旅になって混乱する男、それなのに相手の女は知ってか知らずか奔放でずるずると旅を続けてしまうのです。冒頭から唐突に出てくる欧州の甘くなく複雑なスパイスのバウムクーヘンが終盤、車の運転という逃げ道を塞ぐアルコールにつながるというのが周到で、小さく悲鳴を上げてしまう私です。終幕、体調不良でこられなかったコーチからの「大丈夫ですか」の電話に至ってはもう怪談の域で、振り返ってみればバウムクーヘンをモチーフにしたチラシの写真すらも怖い。

当パンによれば、講談師・神田松麻呂の語り口があってこの形での上演となったそう。あくまでライターである主人公の視点で語り、ユアちゃんママのそとから見える行動は描いてもどうしてそういう行動をするのかは描かないことこそが今作のポイントで、たしかに講談の語り口がぴったりとハマるのです。ユアちゃんママを演じた橋爪未萠里は明るくてミステリアスで、なるほど得体が知れない。

|

« 【芝居】「なにもない空間」劇団チリ | トップページ | 【芝居】「夜明けのジルバ」トローチ »

演劇・芝居」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 【芝居】「なにもない空間」劇団チリ | トップページ | 【芝居】「夜明けのジルバ」トローチ »