【芝居】「なにもない空間」劇団チリ
2025.2.22 17:00 [CoRich]
立川の劇団チリの「即興labo」と題して、メンバーを替えての二回公演。ピーターブルックの言葉をタイトルに。120分。
1)文字三つ:ひと文字ずつ発して単語にする。
ごく簡単なウオーミングアップとして。
2)双子エチュード:二人(=双子)が一人の人格として一文字ずつ発話し、もう一人と会話を繋げる。
このまえ
も見たタイプの。
3)スピットファイア:二人の会話、後から一人が時々肩を叩き単語を入れられたら、その台詞をいわなければいけない。
肩を叩いて言葉を入れる側が、会話を混乱させるようにするか、成立させるようにするか。
4)二人の秘密:爆弾犯の二人、二つの爆発キーの仕草やセリフの縛り、シチュエーションは提示し、会話をしながら爆発キーを見つけられたら勝ち。
エチュードそのものというより謎解き的に勝ち負けが明確にあるゲーム性が最も大きい一本。エチュードは場を成立させるための媒体のような存在。
5)自分会議:二人の会話、一人はあと二人と脳内会議を開く。
アニメでよくある脳内会議的な。エチュードしている役者の頭の中で起こっていることを「ひらいて」見せているよう。
6)回想エチュード:会話をしている二人、他からカットインして、過去の回想を積み上げる
これも前回あったもの、ということはわりとこの団体ではオーソドックスな。
7)ペーパーズ:客からの紙、単語をひいたらそれをいわなければいけない。
これが一番盛り上がる、ということなのでしょう。同じ単語でも言い方一つで持って行き方が変わる楽しさ。
いくらかは稽古をして、設定やルールの面白さと役者の瞬発力に依存する「即興」の上演形態。立川という場所で実力派の役者たちを交えて定期的に稽古や公演という場を持ち続けるということの重要さ。できあがった物語を紡ぎ上げるわけではないので、参加するメンバーが一定しなくても、不定期だとしても稽古場という場を維持することができるというのがメリットで、きっと長く続けることで醸し出されてくるものがある、という気がします。
役者がどれだけ語彙を持っているかということが残酷なほど見えてしまう序盤はまさに、クオリティの半分は役者に依存するということが露呈したけれど、後半その役者もきっちり持ち直したのはたいしたもの。
とはいえ、「即興」を公演として出し物にするというのは奇跡が起こることがある反面、クオリティを維持することを明確に担保することが出来ない難しさがあるというワタシの気持ちは変わりません。それでも毎回とは行かなくても通ってしまうのは、ブラジリィー・アン・山田という人が培ってきた多くの役者たちとのつながりゆえの組み合わせの妙ゆえ。あるいはだいぶ前に小劇場で活躍していた役者をずいぶん久しぶりに拝見出来るある種の同窓会的なワクワクがワタシをこの場に引き寄せているのでもあって、もしかしたらまんまと主宰の思うつぼ、ということなのかもしれませんが。
櫻井智也のメタな視点でかき回す凄み、おがわじゅんや・竹原千恵の役者の地力、身体表現より台詞を主体とするこの場に中林舞が居る面白さ、(ピンチヒッターとして入った)中川智明をまた見られる嬉しさ。
| 固定リンク
「演劇・芝居」カテゴリの記事
- 【芝居】「業界~恥ずかしながら、ボクらがこの世をダメにしてます~」Tom's collection(2025.03.22)
- 【芝居】「ズベズダ」パラドックス定数(2025.03.20)
- 【芝居】「夜明けのジルバ」トローチ(2025.03.08)
- 【芝居】「ユアちゃんママとバウムクーヘン」iaku(2025.03.01)
- 【芝居】「なにもない空間」劇団チリ(2025.02.27)
コメント