【芝居】「幻の壁」螺旋階段
2024.12.21 18:00 [CoRich]
横浜と小田原の二拠点を中心に公演する2006年旗揚げの劇団の2009年初演作(当然未見)の再演ですが、台詞はほぼ書き直しているようです。95分。12月22日まで、小田原市生涯学習センターけやきホール。
二人の刑事が活躍するサスペンス小説の第三弾。親を殺した犯人への復讐を誓う女と志を同じくする男が共謀する。刑事に近づき情報を手に入れようとするうちに刑事に心惹かれる女が追い詰められるクライマックス、物語が進まなくなり、何度も繰り返している。埒が明かないと考えた登場人物たちは「向こう」へ行くことを決意する。
探偵事務所に人捜しを依頼しに現れた女は編集者で行方の判らなくなった作家を探してほしいという。同じ事務所に小説から出てきた三人も現れ、小説の作者を探してほしいという。
物語の世界から出てきた登場人物たちが引き起こすあれこれ、というとキャラメルボックス「サンタクロースが歌ってくれた」 (1, 2, 3)を思い出すワタシです。 もちろん物語も枠組みも違っていて、ロマンチックな雰囲気のサンタクロース〜に比べると、もっとほろ苦い大人の恋愛といった雰囲気を纏います。小説の中での追われる女と追う刑事に芽生える恋心と、「出てきた」世界での消えた作家の男と、探す編集者の女という二つの恋愛をからめつつ、作家は物語の中では追われる犯罪者であってみたいな入れ子になっていて、姿を消すという動機も実にほろ苦くて。
この劇団、探偵の三井と助手の里中のコンビが登場するけれど、物語としては恐らく繋がっていない作品が何本もあるようです(1)。劇団サイトには2012年からの履歴がありますが、その中でも3本ほどある、なんてことがわかるのも、サイトに役名・役者名込みの履歴を残していているからわかることでありがたいのです。演じる水野琢磨と露木幹也はコミカルをベースに、しかし人情派だったりもしてしなやかで。今作では終盤の「小説の中の犯人を笑顔で終わらせてほしい」の一言にも説得力。
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