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2024.12.17

【芝居】「演劇部のキャリー」入江雅人

2024.11.4 15:00 [CoRich]

一人芝居でも知られる入江雅人の手による、パイプ椅子二脚だけの舞台での二人芝居(未見)、新たなキャストに桑原裕子を迎えリーディングを経て。11月4日まで劇場HOPE。110分。配られる当日パンフはB5フルカラー30ページ超の豪華版。

二人きりの高校演劇部。引退を前に、先輩の男がやりたいことをやろうと考える。映画が好きで映画「キャリー」を演劇で上演しようと考える。 高校でいじめにあっている女がプロムパーティーでベストカップルに選ばれるが全ては同級生たちの策略で舞台上で酷い仕打ちをうけるが、超能力に目覚め、怒りと悲しみを開放して人々を惨殺するというホラー映画だが、なかなか演劇での上演の筆が進まない。主演の女子高生を男子に変え、映画で意気投合した二人の男子高校生の物語として上演することにする。大きな観覧車があるだけの小さな田舎町での上演は好評で、しかし男は演劇を続けるために上京を決める。

二人のフリートーク風で開幕。販売している脚本の校正ミスに千秋楽の日に気づいて崩れ落ちるところから、演劇部経験者だとか話しながら学生服・セーラー服での本編。二人きりの演劇部でやりたいことを全力で悩みながら進め、芝居を勝ち取るという外側の物語に劇中劇としての「キャリー」。映画は未見だけれど、公式予告映像 YouTube)を観るだけでも表も裏も陰惨な物語。二重構造とすることで、コミカルにもできる外側と陰惨な内側を自在に行き来する演劇ならではの面白さ。しかし、その外側も、いわゆる地元に対してのある種の諦めが混じり、しかもそれを今でも芝居を続けている作家・入江雅人が過去を振り返るように語っていた、という体裁になるのがノスタルジックでもあって、気持ちが持って行かれる終幕。

清水宏や野口かおるが上演してきて、瞬発力と細やかさが同居するこの物語。還暦を過ぎた入江雅人がこのパワフルなことにも驚くし、アラフィフに届こうという年齢になった(!)桑原裕子と実力を持つ二人の丁々発止が楽しい。読み応え十分のパンフレットに掲載された多くの写真やインタビューが、稽古場の雰囲気の良さも感じさせるのも、「演劇部」の延長のよう。

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