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2024.11.09

【芝居】「座敷オトコ」蒼天の猫標識

2024.10.12 18:30 [CoRich]

名古屋の劇団・蒼天の猫標識、まつもと演劇祭参加の60分。10月13日まで下馬出しホール。

次男が久しぶりに戻った実家にはその姉妹が住んでいる。姉と口論になって出た実家。 母を亡くし、兄弟の面倒をみていた長男も交通事故で亡くなったあと、進学させるために家を支えようとする想いがすれ違い、口論ですれ違ったりしていた。段ラック 姉が稼ぎ支え、妹が学生で二人暮らしの実家に、家を出ていた次男が戻るが仲違い、殺伐とした関係というところから物語を始めます。 場が進むにつれて、時間を遡り、誰が支えるかの口論、長男の死亡、母の死亡、けっして裕福ではないけれど手に入れたギターをつまびく長男といった具合に かつて思い合って笑い合っていた時間から、残酷な試練を経てすれ違ってしまった兄弟たちの想いを答え合わせのように紡ぐ物語は、60分と決して長くはないけれど、 きちんと物語を織り、積み重ねていくのです。

ずっと鳴っているギターを弾いている男は、この場所を見守っているけれど、ここには居ない「座敷オトコ」なのだということは徐々に語られ、それはこの家を支えていた長男であり、過去の幸せな時間の象徴として、長兄が不器用にキラキラ星を弾いていた、という最も過去の場面につながるのです。

終盤、過去に遡って語られた物語は、一転、最初の場面より未来、姉妹もこの家を出るために荷物を運び出し、取り壊そう、という場面に繋がります。 それぞれの子供たちが実家を出てそれぞれの人生を暮らし始める、という未来に開いた終幕は陰鬱としていたこの狭い空間に開いた扉なのです。

去年の演劇祭から会場になっている「下馬出しホール」は、 元は琴などの和楽器を扱う店が移転した後の小さなイベントスペース。 客席としている大きな土間と舞台にしている小上がり、実は奥にキッチンと上手側に階段があるという構造で、 今作は土間以外の部分を実家の二間に見立てていて、終幕、土間部分に置かれていた家具を片付ける過程は、野外劇の終幕のように綺麗で美しい。

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