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2024.08.16

【芝居】「流れんな」iaku

2024.7.15 19:00 [CoRich]

2014年初演。関西弁で上演された初期作を全編広島弁に変え、キャストを一新して再演。7月21日までスズナリ、そのあと大阪、愛知、(少し間をあけて)広島。100分。

例によって記憶はザルのように抜けて行くワタシですので、公表されているとおり舞台を広島に変えたこと以外は自分のblogを読んで、初演ではタイラギ(平貝)だった名物の食用貝を、カッピギというおそらくは架空の、(しかし月日貝なら実在だけれど)貝に変わったということは思い出すけれど、たぶん骨子は変わりません。

黒板のメニューの食堂、ちょっと一杯ひっかけたり晩飯に通ったりと使い勝手の良さそう。真ん中にトイレというのはあきらかに不自然な配置だけれど、長女がせがんで洋式に変えたがために母の脳梗塞に気付けなかったトラウマなので、ここに置きたいという明確な意思がきちんと機能します。

脳の記憶を外部に取り出して映像化するという未踏の技術、母を知らず育ち母になるにあたって母を知りたくてしょうがない妹、の存在、 この土地に縛られるように父親とともに生きてきて、若い恐らくはエリートの会社員と不倫の関係になった姉、その姉に想いを寄せ続けてきた幼馴染の漁師という枠組みに、 貝毒が起きたゆえに夫がすすめる出生前診断、食品加工会社が安く海外から仕入れていた汚染魚の汚染された部分の不正投棄の時期と一致するように起きていたという具合に、いろんなことを都合良く5人の物語に凝縮しすぎ、というのは感じなくは無いけれど、それは些細なことなのです。10年前にこの濃密さ。

姉を演じた異儀田夏葉のアラフォーの気丈さとトラウマのコントラストが素晴らしく。幼なじみの漁師を演じた今村裕次郎は初演との造形が随分異なることに戸惑うけれど、別のキャラクタとして説得力。

王子小劇場がフックアップよりスタートアップ支援に回るようになって随分経ちますが10年前に職員が足を運び三鷹市芸術文化センターにフックアップしていて、今でもフックアップし続けているという頼もしさを改めて感じたりしつつ。まあ公共の劇場と民間の劇場を直接比較するわけにはいかないけれど、その間にアゴラが閉館したという事実も重くて。

役名 2014.10-11
三鷹市芸術文化センター星のホール
三重県文化会館小ホール
2024.7
ザ・スズナリ
インデペンデントシアター2nd
メニコンシアターAoi
JMS明日テールプラザ多目的スタジオ
鳥居睦美 峯素子 異儀田夏葉 姉・父と食堂を切り盛りしている
佐藤皐月 橋爪未萠里 宮地綾 妹・結婚して土地を出ている
田山司 緒方晋 今村裕次郎 姉と幼なじみの漁師
佐藤翔 酒井善史 松尾敢太郎 妹の夫
駒田広 北村守 近藤フク スーツ姿の常連

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