【芝居】「デンギョー!」小松台東
2024.6.8 18:00 [CoRich]
2013年初演作、2021年再演(未見)を経ての三演め。6月9日まで三鷹市芸術文化センター・星のホール。120分。
例によって初演の記憶は曖昧で観始めて、徐々に思いだしながら観たワタシです。作家の家業がデンギョーさんだった、という話は何処で見たんだっけな。10年弱を経てワタシも歳をとり、劇団チラシの惹句から永六輔が消えたりするのも時間の流れ。
詰め所で入院して時間が経ち戻る気配のない電気工たち。東京から元銀行マンを役員に据えて次の体制を整えつつあるトップとの確執。濃密なコミュニケーションと、そこでも存在する管理職と現場の溝。びっくりするほど物語の骨子もワタシが抱く印象も変わらないのです。それは組織というものがそうすぐには変わらないということでもあるし、恐らくは(未見の)再演を通して時代に合わせた部分と、時代とズレていてもあえて残す部分のバランスをもつチューニングの力だと思います。
大きく変わった、とワタシが思うのは、作演を兼ねる松本哲也が、初演では確か営業部長で、ヒールと物語の整理と緩急のバランスを一人で担っていたのだけれど、今作では(おそらく再演からだろうけれど)瓜生和成にヒールを任せ、それいがいの部分を夫婦の一人として分担するという形にしたところだろうと思うのです。信頼出来る役者を仲間として劇団化するというのはこういうことなんだろうな、と外野の一人として思うのです。初演からでいえば、東京からの役員を初演で演じていた佐藤達は今作では現場の叩き上げ、しかも切られるかもしれない外注さん、というポジションに。濃密な悲哀を細やかな解像度。役の属性が変わったという意味では初演では元は引きこもりだった若手(たしか中田麦平)が、今作(吉田電話)ではおそらくADHDという属性に。意図はわからないけれど、役者に対するチューニングかな、と邪推するワタシ(余計なお世話)。
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