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2024.07.13

【芝居】「地の面」JACROW

2024.6.15 [CoRich]

JACROWの新作は、積水ハウス地面師詐欺事件(wikipedia)をベースに、不動産会社内部の権力闘争を男性の俳優だけで描く120分。6月23日までシアタートップス。

戸建事業の売上も権力も圧倒的な不動産デベロッパ。社長が目を掛けているのに立場が弱く派閥としても弱小なマンション事業のもとに、不動産業界ではかねてから注目だった都心一等地の元旅館跡地を売りに出すという話がもちかけられる。成功すればマンション事業の大きな成果になる案件で、仮登記し、支払をすませ、所有権を得ようと急ぎ手続きをしたが、売買が成立しなかった。地主になりすました何者かに騙されたことに気付く。

なんで大手デベロッパがいともたやすく騙されたか、と評判になった事件をもとにはしているけれど、事件の現場で何が起こったかではなく、事件を引き起こす背景と、事件によって起こる社内抗争の悲喜こもごも。 社外取締役こそほんの少し出てくるけれど、完全に社内の男たちだけで描きます。 当事者たちは至って真剣だけれど、それを見物する私たちには滑稽にみえるのです。それは、ところどころに挟み込まれる「踊る」男たちの姿が象徴となるのです。

仕事の地位とか派閥とか、そういうことは早々に諦めちゃったワタシだし、不動産業の中で何が起きているかのリアルはわからないけれど、まあ会社員であればそれに価値を感じて血道を上げる人がいることが居ることだったり、優先順位とか価値が微妙に歪むことのリアリティは感じるし、それを誇張しコミカルに、喜劇に仕上がったと思うワタシです。

現実の事件はそれとして、いとも簡単に騙された「種明かし」だったり、正直が売りの不動産会社を立ち上げる、という終幕は、それ自体に意味はないけれど、ちょっと一区切りをつけて終幕というのはどこか落語のよう。

戸建て派の会長を演じた佃典彦のラスボス感、対抗する社長を演じた谷仲恵輔の追い込まれ足掻く感じとヤケにカッコいいダンス。法務を演じた芦原健介は、まさに可愛い顔してあのこ割とやるもんだねというフレーズが頭に浮かびます。騙された担当を演じた小平伸一郎の真面目で巻き込まれる感じがとてもいい。

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