【芝居】「かれこれ、これから」ONEOR8
2024.6.8 14:00 [CoRich]
年齢を重ねた劇団のこれから、かもしれない物語。6月9日までシアタートップス。120分。
スタッフ付きのシェアハウスに集う人々、タバコを何処で吸うか、気になる異性がいてデートに出かけたいとか結婚したいとか。
個室のあるシェアハウスの中にある、小上がりやテーブルを設えた体裁の共用スペース。有り体に言えばサービス付き高齢者向け住宅という設定なのですが、あえて説明はしないまま物語を進めていて、若い役者たちが入居者の老人を若者の所作で演じているので、少なくとも観始めの時点では若者たちが暮らすシェアハウス風に見えるのですが、シェアハウスにしてはスタッフが常駐してたりするのが違和感で、じゃあ「S高原から」風のサナトリウムかというとそういうわけでもなくて。もっともわりと速い段階で、実は入居者の老人たちだと判る程度には親切設計なのですが。いっぽうで劇団のベテラン勢はほぼ、入居者の子供で時々訪れるという構成。
老いてもなお、恋心を抱いてデートに行ったり、結婚したいと言い出して子供たちが混乱したり。老人たちだって恋する気持ちがあるし、結婚を考えたりもするし駆け引きをしたり。あるいは施設の中のお化け騒ぎに端を発する一連の騒動もまた、原因となる認知症の入居者が気持ち悪いことをしても許す気持ちもまた恋心なのです。あるいは夫婦での入居者、若い女性の入居者にヤキモチを焼く妻もまた。 そういうことが起こりうる現実を高い解像度で目配せしながらも、少しばかりの誇張を加えてあくまでもコミカルに、ときおりペーソスを交えて群像劇として楽しめてしまうのは、実は自分が年齢を重ねて「そちら側」に近くなってきたからだよなぁと思ったりもするのです。
ベテラン勢で唯一入居者を演じた恩田隆一の乱暴な物言いと、古株の入居者を演じた異儀田夏葉の掛け合いが素晴らしい。ほれぼれ。
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