【芝居】「雲を掴む」渡辺源四郎商店・うさぎ庵
2024.5.12 14:00 [CoRich]
渡辺源四郎商店のうさぎ庵公演。5月12日までスズナリ、そのあと閉館が発表された愛媛・シアターねこ。105分。
老いたウォリスはかつての夫の姿を見て思い出す。
プレイボーイとして知られる英国王エドワード8世は社交界で米国人女性ウォリスに出逢う。離婚歴のある女性と結婚するため突然退位を決断する。王座を捨てイギリスに再び戻ることはなかったがウィンザー公としてナチスと交流を持ったり、若き日のチャールズとカミラに会ったりという日々を暮らす。
認知症「レビー小体病」を患ったというフィクションを紛れ込ませ、リアルな「幻視」を感じているウォリス、という語り口。 英国王が道ならぬ恋のため王座をすてて離婚歴のある女性と結婚した、いわゆる「王冠をかけた恋」と、チャールズ皇太子、カミラ、ダイアナを巡る英国王をめぐるスキャンダル。第二次世界大戦を挟んで三十年を隔てた二つの物語。
映画「英国王のスピーチ」で扱われた戦前のエドワード8世のさまざまはワタシにとっても「歴史上」の知識だけれど、チャールズ皇太子を巡る戦後のさまざまは、リアルタイムで見聞きしているワタシには歴史というよりはワイドショーで扱われるゴシップとして、自然に覚えているものだったりします。敷衍して考えれば戦前のそれもきっとスキャンダルなんだろうな、というのはたとえばNHK映像の世紀「運命の恋人たち」などでの世間の大騒ぎをみているとわかるわけですが、どちらかでもこのリアルタイムな「下世話な感じ」を感じている世代かどうかで、この物語のとらえかたは変わってくるような気はします。
ワタシより少し上の世代であるはずの作家であることを考えると、もちろん戦争と男女を描くということでもあるけれど、どこかある種のメロドラマの軽さの中に、ヒトラーとウィンザー公を巡る「マールブルク文書」を紛れ込ませたことが「戦争と平和を考える2作品連続上演」の一本として描きだしたことなんだろうな、と思うのです。
ウォリスを演じた山村崇子の老いた、しかし力強い造形。ウィンザー公を演じた桂憲一の洒落者なモテ男の説得力。ヒトラーを演じる大井靖彦がともかく凄くて、人の会話に関係無く横でぶつぶつ突っ込んでたり、やけに艶めいてみえたり。
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