【芝居】「なかなか失われない30年」Aga-risk Entertainment
2024.4.27 19:00 [CoRich]
商業演劇 (1, 2)やテレビへの露出も増える作家の劇団、アガリスクエンターテイメントの新作。去年6月をもって閉館した新宿シアター・ミラクルへのオマージュを近くのシアタートップスで120分。5月18日まで配信があります。
2024年4月、雑居ビルにあった劇場跡地を片付けるビルオーナーは、次の買い手を待っている。電気設備の点検に訪れた男がいちど電源を落とすと。
1994年の同じ場所、街金の事務所では取引に必要な大金を用立てた男が金を無くして探している。2004年の同じ場所、風俗店の待機部屋の女たちはそれぞれの理由で絶対に接客したくない一人の客を押しつけ合っている。2014年の同じ場所、小劇場の楽屋では主宰を若い俳優、主宰の妻のもつれた話で多くの役者が降板した舞台の上演中。再び照明が復帰すると。
4つの時代が雑居ビルの同じフロアに重なり合って、それぞれの時代の人々それぞれのショーマストゴーオンというSFの設定。街金の店長がハードなSF好きで、何か起こしたことがバタフライ効果を生んでしまうなどの設定を序盤で早々に説明。 その部屋の中では時代が違う人も見えるし会話出来るし、物も受け渡せるけれど、その部屋を出てしまえば2024年の状態に戻るので人も物も消えてしまう、という少々判りにくい制約は作家も自覚しているようで、何度か説明するのも親切です。
時代の設定を縦断するように朝ドラを会話にするのもいいし(風俗の女性たちが歳のさば読みしてるとかもご愛敬で)、震災を折り込むのもまた時代の縦糸。
熱狂というか、ダブルコール。もしかしたらサンシャインボーイズ(←ワタシは観てない)かピスタチオかキャラメルボックスか遊眠舎か新感線か。そこまでの熱狂に乗れなかったのは物理的に気温が高すぎた劇場で、もっと詰め込んでた昔のトップスでもここまではという温度で、それは熱気以前の問題(劇場の設備も老朽化しているのだろうけれど)。
全席指定でしたが、当日近くになって、見切れ席が出来たので席を変更するとのお知らせ。確かに上手端にある柱が邪魔になるシーンがそこそこあって、心配りがすばらしい。場所の記憶を芝居にする、という意味ではトリのマークを思い出すワタシです。
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