【芝居】「友達じゃない」いいへんじ (Cキャスト)
2024.3.23 15:30 [CoRich]
初見の劇団です。3人芝居をキャスト違いの3バージョンで上演。ワタシはCキャスト。75分。3月24日まで北とぴあペガサスホール。5月7日まで配信中(購入は4月30日まで)。
誰とも距離をとって友達をつくらず日々を仕事と家の往復で暮らしている女。あるときネットで耳にしたシンガーソングライターの路上ライブを見に行き、通ううちに明るく活発な女と互いに知り合いになる。その女はアルバイトで金がなく、金を使わずに遊ぶ天才だったりして、「友達」を意識する。ある日、逆にスカイツリーに誘うが、そこにアルバイトの女は来ないし、連絡もとれず、ライブにも来なくなってしまう。
下手側に少し小高い土手、上手側にベッドなど部屋の雰囲気。その間の空間も生かしながら、広々。友達を作らず波風立てずにともかく平穏に暮らしていた正社員の女が目にした音楽、路上ライブで変わっていく生活。さらにはSNSでそのアーティストと繋がること、同じライブにいつも来ている常連の仲間。大人になってから仕事と関係の無い友だちができていく過程を追体験するよう。芝居見はじめたときの自分がいつも見かける客と知り合いになっていた頃を思い出します。とはいえさすがにワタシは友だちであることを言葉に出して確認したりはしないのだけれど。
学校の友だちでも生活の差はあるけれど、大人になって偶発的に知り合った友だちは、生活や環境が全く異なることもあり得るわけです。正社員とアルバイト、人見知りだけどまあ健康に不自由なく暮らせているのと、明るく活発に見えるが双極性障害でアルバイトも続かない。どちらが普通、どちらが優位ということはなくて、どちらもそれぞれに生きづらさを抱えているのです。それまでは人とは距離を取っていたのに、一歩踏み込む「友だち」となっていく過程を細やかに丁寧に描く解像度の高さが見事。もちろん二人の物語なのだけれど、シンガーソングライターという第三者を置くのもよくて、劇中の曲の良さもあるけれど、二人を見ている人でもあり、二人を最初につなぎ止める第三者でもあるのが絶妙なのです。
岸田國士戯曲賞最終候補に選ばれるほどになっているのにノーチェックだったワタシ、未見だったのが本当に無念。出会えたことが佐吉祭の収穫なのです。
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