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2024.04.22

【芝居】「イノセント・ピープル」CoRich舞台芸術!プロデュース

2024.3.20 14:00 [CoRich]

劇団昴の2010年初演作(未見)をCoRich舞台芸術が名作をリメイク再演として初プロデュース。3月24日まで、東京芸術劇場シアターウエスト。135分。

ロスアラモスの研究所、かつて原爆を開発した仲間たちが再び集まる。
「夢の城」と呼ばれていた宿舎の若者たち。物理学者、海兵隊、大学士のアルバイト、数学者、医者、あるいは看護師。それぞれの戦後、それぞれに家族ができている。新たな戦争に関わっていたり、日本人と結婚したりする家族もいる。

ときおりしも「オッペンハイマー」の上演に重なる時期(ワタシ未見ですが)。畑澤聖悟の手による物語もまたアメリカ人の視点で描かれます。長引く戦争を終結させるための正義として原爆開発を進めた若者たち。戦争の終結とアメリカの勝利に繋がる原爆の投下を支点にするように1945年の8月までと、そのあと2010年までの間を行きつ戻りつの物語。

原爆投下までは、その威力を人類で初めて目撃して恐怖したり、それでも若者らしく恋をしたり、デートしたりといった日常もありつつの日々。戦後の物語はその後続く冷戦、ベトナム戦争の泥沼に巻き込まれる息子、広島生まれの日本人と結婚する娘、大企業に入って裕福な日々を暮らしていたり、アメリカの正しさをそれでも信じて疑わなかったり、原爆の投下によって人体に及ぼした影響を受けたり考えたりしていたり、あるいは自責の念で自死にに居たる人々。原爆を手にして勝利したはずなのにアメリカの苦悩は続くのです。

結婚した相手やその親戚といった日本人を能面を付けて演じるのはなかなかのインパクト。感情がわかりにくいなのか、あるいは個々の人間としては捉えられない一種格下としてみているか、西洋人から多くのアジア人がどう見えているかのバイアスはホントの処はわからないけれど、そう見えているかもしれない、という説得力があります。 その流れで日本人の個人に向き合った科学者が気の毒には思う(=Sorry)だが、謝罪はしない(=apologize)というのは、終演後のトークショーで作家が、原爆投下に随行したカメラマンがある番組で言っていたというのも正直な彼らの感覚なのだとも思います。

さらにはウラン採掘に関わる原住民の被爆、劣化ウラン弾、ベトナム帰還兵のPTSD、核兵器使用の道義的な責任を口にしたオバマの演説といった問題にも目を配っているのは作家らしい多面的な視点。それでも孫娘の妊娠を告げ、対話の始まりは希望を感じさせる終幕なのです。

数学者を演じた森下亮はスマートなしかし生真面目な造形。海兵隊員を演じた内田健介のマッチョさはトランプを支える白人男性の雰囲気を存分に。ネイティブアメリカンの家政婦を演じた保坂エマの表情の薄さは能面の日本人に繋がるよう。妻を演じた川田希はプロデューサーも兼ねて舞台を支えます。とりわけ学生からGMの重役(かな)を演じた三原一太は凄くて、どこまでも軽く陽気な感じなのに、悲劇を内包する深みをしっかりと。

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