【芝居】「諜報員」パラドックス定数
2024.3.9 18:00 [CoRich]
パラドックス定数の新作。ゾルゲ事件に関係したとして突然軟禁された4人の男たちを描く120分。3月17日、東京芸術劇場シアターイースト。
二段ベッドがふたつ、囲むように通路状に。ゾルゲが特高に逮捕された日、協力者とされた人々を拘束した警察の取り調べ。史実として協力者として出てくる尾崎、宮城といった人々ではなく、その更に外側の、実は事件との関連が薄い(しかも一人は「おとり」だ)人々と、特高よりは情報がすくない警察を舞台に描きます。マクロ視点では史実の枠組みながらも、組織の軋轢やそれぞれの背景で味付けしながら、実にミクロな会話なのはパラ定節。
四人の「協力者」は諜報活動に関わっている内閣調査室勤務、ゾルゲと会ったことはあっても諜報活動にはおそらく関与していない医師、協力者と面識がある新聞記者、そして牧師として潜入捜査していた警察官といった具合な立場のグラデーションが観客にも登場人物たちにも徐々に明かされます。 取り調べをする警察の二人はもうすこし俯瞰的に事件は見えているけれど、核心となるゾルゲの身柄もおそらく情報の数々も特高に先を越されていて実はあまりわかっていないというのが絶妙。
つまりは、ゾルゲ事件のことを知っていたら外伝的に楽しむことはできるけれど、知らなかったとしても、その「わからなさ」のままで楽しむのも有りかなぁとおもったりするのです。人々の疑心暗鬼なソリッドな、しかし時にコミカルでもあったりする会話で。
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