【芝居】「きょうのの○○は」ムシラセ
2024.2.18 16:00 [CoRich]
ムシラセミニ、と題して短編集。60分。千穐楽は追加料金でお茶会付きだけどなぜか人見知り発動なワタシだけどたのしい。
執拗に風呂に入れられようとしている男は自治会長と呼ばれている。誰もがアイドルになれる特殊な入浴剤で国民総アイドルの国策を拒否している「今日のお風呂は」
スーパーのバックヤード。社員が試食販売バイトに説教している筈なのだが、肉が米から作られたこの時代、本当の肉の味を知っているのは自分だけだと言い張るバイトの女「今日のお肉は」
百均バイトの面接に来た女は年齢を偽ってでもどうしてもこの店で働きたいのだという「今日の百均は」
「〜お風呂」はマンガアニメを作れる一握りをのぞく総ての国民をアイドルにしてクールジャパンなコンテンツにするという沈みゆく国の無茶苦茶な起死回生策。謎の入浴剤で骨格まで変わってアイドルになることを強いられるSFだけれどどうしてもアイドルになりたくない男。なにか怖いと言う感覚はとても私たちの感覚に近いし、みんながやることになってるのだから示しが付かないという女の主張も、実は私たちの感覚に近い鬩ぎ合い。還暦アイドルだという女が実は反権力で入浴剤を無効化する粉末があると説得するが。幕切れ、男の「あっ」の一言が巧い。アイドルになりたくない男を演じた堀靖明の理屈をこねて拒否するキャラクタはこの役者の真骨頂。
「〜お肉」は牛が絶滅危惧種で、(いま流行の大豆ではなく)米から作られるという未来の話。本当の肉の味など誰も知らないという時代に、祖母が隠し持った百年前の冷凍牛タンを持ち歩き、本当の肉の味を知ってるのだという女。後半で、人間は仕事をアンドロイドに奪われていて、実はこの社員も生きる意味を聞かれハングアップしたりしてアンドロイドなのだと明かされる、肉の味もわからなかったり。肉と人間という二重に本物と偽物の対比が面白い。ハングアップしたらコールセンターが呼び出されるくだりがコミカルで楽しい。識別番号がある首筋を自分で触る女もまた自分がアンドロイドかもしれないとおもうのは、なんかリアリティ。まあ、識別番号を読んだのだから、物語に従えば人間なのだけど。
ジャンケンで勝った俳優と、菊池美里の二人芝居という趣向の「〜百均」。千穐楽は堀靖明。面接する責任者と、還暦アイドルと嘯きどうしてもここで働きたいのだという純粋な気持ち。6本百円の植物用の栄養剤を飲もうとしてた女と止めた恩だというのも馬鹿馬鹿しいけど、還暦だからという雑だけど説得力のある。店への思いをキャンドゥのCMソングを歌い上げて伝えるけれどダイソーというオチも楽しい。 駄々っ子のように寝技掛けまくる還暦アイドルを演じた菊池美里が妙な説得力で圧巻の存在感。巻き込まれ困るという役を演じたらピカイチな堀靖明との二人芝居の贅沢。
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