【芝居】「走れ!弥次喜多」神奈川県演劇連盟
2024.3.2 14:00 [CoRich]
神奈川県演劇連盟(TAK)の参加劇団による合同公演、盛り沢山なエンタメ全振り。神奈川県立青少年センターの紅葉坂ホール。120分
神奈川宿にたどり着いた若い男二人、弥次と喜多。金はなく自暴自棄だったりするが仲良く楽しく旅をしている。ふとしたことで瓦版の記事を書き戯作者になりたい一九と出会う。
地獄では世間で流行るお血脈の印で亡者が地獄に来なくなり深刻な問題になり閻魔は石川五右衛門に奪取を命じる。
宿を取り仕切る出井鬼州(デイオニス)王は暴君で、瓦版を書いた一九を見せしめに磔にするが、弥次喜多の二人はそれを助けたいとデイオニス王に申し出て、3日のうちに小田原宿で次郎長一家が持っていると思われるお血脈の印を手に入れてくるように言う。
演劇連盟らしく横浜(神奈川宿)と小田原宿を舞台に、 弥次喜多や十返舎一九、清水の次郎長一家といった登場人物を組み合わせ、走れメロスを物語の幹に据えて、数々の落語(お血脈(=ブラッドライン、なるほど)の印、初天神、死神、抜け雀、置泥、ぐらい?)や八百屋お七や地獄太夫などさまざまな小ネタやエッセンスを塗した大作。自分でも何を言ってるかわからないけど、これ全部が無理なく2時間ほどにギュッと濃密で疾走感のあるエンタメなのです。
市民劇団を含めて多くの役者をもってしても、2FのHIKARIよりはるかに大きい1Fホール(客席812)の土曜昼でさえ埋まりはしないけれど、物語(神奈川県西部を含めた(=小田原))も演出も、きっちりエンタメとして大きな劇場で楽しめるという仕上がりを間違いなく、きっちりと濃密に作り上げるのです。さらには平賀源内のエレキテルならぬキコエテルなるスマホ的なものを皆が持ち、twitter的なSNS(抜け雀を組み合わせるのも見事)があって、「普通の人々の悪意」の怖さみたいなものまでてんこ盛り。小ネタ的なことも楽しくて、たとえば瓦版の版元はツタヤだけどTポイントカードをぶら下げてたり(広い劇場なのにピンポイント過ぎる)
弥次喜多の二人を演じたジョニー、佐藤晴伽の掛け合いの口調、あるいは後半の疾走感。十返舎一九を演じた片倉郁のイノセントな感じ。出井鬼州王を演じた今井勝法は威厳というより邪悪が勝つ造形。女優ばかりで次郎長一家の面白さで、次郎長を演じた川西玉枝の懐の深い感じや石松を演じた川井眞理子の弾ける感じ。閻魔大魔王を演じつつ演出も兼ねた中山朋文を頼もしく思うのです。
| 固定リンク
「演劇・芝居」カテゴリの記事
- 【芝居】「業界~恥ずかしながら、ボクらがこの世をダメにしてます~」Tom's collection(2025.03.22)
- 【芝居】「ズベズダ」パラドックス定数(2025.03.20)
- 【芝居】「夜明けのジルバ」トローチ(2025.03.08)
- 【芝居】「ユアちゃんママとバウムクーヘン」iaku(2025.03.01)
- 【芝居】「なにもない空間」劇団チリ(2025.02.27)
コメント