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2024.02.10

【芝居】「アンネの日」serial number

2024.1.14 14:00 [CoRich]

女性用ナプキンの開発を巡る女性たちを描いた 詩森ろばの風琴工房時代に初演したものの再演。1月21日までスズナリ。

物語の幹となるのは、ノンケミカル・オーガニックなナプキンの物語を、生理そのものやナプキンの機能を解説するスタイルなのだけれど、それぞれの女性たちのそれぞれのこれまでの生理にまつわるエピソードを紡ぎ語りあげるところこそが作家が描きたいことだと思うワタシです。素直に祝われる環境もあれば、なんか不本意だったり恥ずかしかったり、性自認が女性ではあっても身体が男性であることで生理そのものがなかったりなど、接し方や感じ方もみなそれぞれにあることを描きます。

あろうことか、初演時よりも男女平等ランキング(ジェンダーギャップ)が下がっていたりして、生理どころか女性を取り巻く環境がまったく変わっていなくて、物語が描くありかたも変わっていないのは、再演がみられる嬉しさはあれど、そりゃどうなんだという話だったりもするのです。

開発職と企画職が一つの製品の完成に向かって、コストや実現性での衝突はあっても理想の製品を作りたいという一点に向かって社内プロジェクトとして突き進むわけで、理想的にすぎる関係性は青臭く感じないわけではないけれど、仕事の軋轢を描く話ではないので、大きな問題ではありません。

ケミカルなものを粘膜から吸収するかもしれないという恐怖感は説得力があるし、農作物が種子と農薬がセットで売られるようになっていることの危惧など、作家の主張を強く感じますが、理想を追うあまり一歩間違えば陰謀論になりかねないギリギリを攻める感じの絶妙のバランス。

女性たち、次の世代へつなぐことという視線が色濃く。とりわけ終幕近くで閉経を迎えた女が若い女たちへ「後輩への視線」で語ることが、作家の視線を感じるワタシです。

性同一性障害の役を演じるのが初演では女性(彼女の性自認がどうであるかは知る由もないし知る必要もないけれど)、今作では性自認が女性である男性になっています。役の属性と同じ属性を持つ役者が演じるべきだという流れの一つとも思うけれど、物語では「生理を憧れる」立場として描いていても、トークショーでは俳優自身の考えは異なり、あくまで役として演じているという言葉が引き出せたりして、健全を感じるワタシです。トークショーでは作演の演出スタイルが変化して戯曲理解に時間をかけるようになったということも語られました。

役名 2017.9 2024.2
津和苑子 林田麻里 リーダー
土井加奈子 石村みか 李千鶴 サブリーダー
河東響子 伊藤弘子 企画、既婚
田保明美 ザンヨウコ やる気みなぎる研究者
志田英幸 葛木英 研究者、未婚
今野裕美 熊坂理恵子 橘未佐子 企画
杉本沙也加 笹野鈴々音 瑞生桜子 企画、ノンケミカル推し、若い
鳥村理央 ししどともこ 真田怜臣 性自認が不一致

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