【芝居】「小田原みなとものがたり~大漁めでたい編~」螺旋階段
2023.12.2 18:00 [CoRich]
小田原の港町で暮らす父娘を描く三部作( 1) の完結編。第二部を見逃しましたが、これは拝見できました。130分。12月3日まで。初めて伺った小田原・三の丸ホールは駅からもほど近く新しいホール。
小田原の港のそばに暮らす漁師の父は男手一つで娘を育ててきた。父は再婚し同棲を始めた。地元の土産屋を引き継いだ娘は、家を出て父が新しい母親と二人でくらせるようにしようと考え、誤解と親子喧嘩が騒動になる。
ある日、土産物屋を訪れた旅の男も騒動に巻き込まれるが、この土地が気に入って、繰り返し訪れる。
仲間のためなら何でもするが、自分が人を頼ったりしない男気溢れる男と、その娘の二人暮らしのものがたり。気のいい仲間たち、仕事がきつくてやめた新人、漁師の仕事に誇りを持つ中堅、漁師として使い物にならずマグロ漁船で鍛えられてるはずなのにいつの間にか舞い戻るおとこ、何かといろいろ首を突っ込み車椅子探偵を名乗りかき回す女、その介護のために漁師を止めて時間が自由になる仕事に就こうとする弟。 妊娠で浮かれる女だったり、地元民だけで回って居るスナックの店主と年増のホステスと、多彩な人々が行き交い、それぞれに暮らしを持っている小さなコミュニティの人間模様はどこまでも温かく、ほっこりと。誰もが気楽に楽しめる仕上がりです。 父親が再婚し、娘は繰り返し訪れる旅人との結婚を決めるけれど、頑固オヤジよろしく頭に血が上ったりしてでも迎えた結婚式当日、目が覚めたら当日夕方で、まさかの「父が出席しない結婚式」という大技で、この場所に結婚式を引っ張ってくるのは少々強引だけれど、巧い。
父親を演じた水野琢磨と娘を演じたモハメディ亜沙南はどちらも不器用で親子を演じきります。スナック店主を演じた露木幹也、漁業組合副会長を演じた新井人志、ホステスを演じた岡本みゆきといった個性溢れる役者たちが魅力的。 旅人を演じた中根道治の勘違いした空回り感を続ける胆力も凄い。作家・緑慎一郎のボケ倒しも楽しく。
「おさるのかごや」「小田原小唄」などを取り込んだ地元の祭りなのだそうで、それを役者たちがパワフルに舞い踊る圧巻。この場所でここの人々を描く事にこだわり続けた三部作の堂々完結編なのです。
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