【芝居】「ジゼル、またはわたしたちについて-Giselle or about us-」waqu:iraz
2023.12.16 14:00 [CoRich]
9月に八戸で上演した作品(未見)を再構築して上演。12月17日までSTスポット。
派遣社員として働く女、特別にやりたいこともないけれど、イベントで知り合った社内の男性は誠実そうで好感を持つが実は本社の正社員で少し距離を感じたりもする。女のことを何でも知ってるという幼なじみの男はアスリートの一家でそれはそそれで比べられて辛い。インフルエンサーの女は女だからこそ得してることもあると思っている。帰国子女の女はさまざまなことを自分の手で勝ち取ってきた。それぞれの日常だったり、想いだったり。
ランウェイ風に十字に組まれた舞台の田の字の四箇所に客席を設え、作演を兼ねる役者(小林真梨恵)がDJコントローラーで音響を流しつつ、しかも恐らくは全曲がオリジナルのミュージカルあるいはラップ風味だったりというスタイリッシュ。
ワタシは未見のバレエ・ジゼルを翻案。 農民の娘のジゼルを派遣社員、公爵のアルブレヒトをエリートだが誠実な正社員、門番のヒラリオンを幼なじみ、公爵の婚約者バチルダを女を存分に発揮するインフルエンサ、女王のミルタを帰国子女で勝ち取ってきた女としてという翻案はなるほど見事。女らしさ、女らしくないこと、男らしさ、男らしさゆえに弱音を吐きづらいということ、あるいは旧来の価値観を存分に利用するか、それと対峙して勝ち取るかというさまざまな価値観の揺らぎ。ワタシよりはずっと若い世代の作家、自分たちに地続きなありかたをすくい上げ、ジゼルの枠組みを使いながら描くくことで現代の私たちのパーソナリティを点描して浮かび上がらせます。
ジゼルを演じた宮﨑悠理は素朴、アルブレヒトを演じた金川周平はフラットで誠実、ヒラリオンを演じた若尾颯太はマッチョな価値観と自分の弱さの相克、バティルドを演じた関森絵美は華やかさ、ミルタを演じた武井希未は力強く勝ち取る女、それぞれのキャラクタがとてもマッチしていて、エンタメとしての違和感がみじんもない凄さなのです。
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