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2023.12.04

【芝居】「獄窓の雪」オフィスリコ

2023.11.12 18:00 [CoRich]

昭和の事件をモチーフに描く高橋いさをのシリーズ。帝銀事件を題材に。120分。

銀行に現れた男が行員らを騙して毒殺し現金と小切手を奪った事件。テンペラ画家が犯人とされたが、行員の生き残りの一人の女が似てはいるが犯人と同一人物であるとは思われないと一貫して証言を続ける。女を取材した新聞記者は足繁く通う。

帝銀事件を題材にした芝居と云えばパラドックス定数の「731」が緻密で印象深い一本なワタシです。今作は犯人とされた男、自白を翻すこと、それを支える証言を続ける女、という父娘ほど年の違う二人を主軸に物語を進めます。劇中でも語られているとおり、刑事訴訟法が新しい考え方に基づいたものに移行される狭間で、自白が重要視され、疑わしきは罰しない、という原則ではないという流れゆえに、一度は自白したこと、疑わしい状況証拠はいっぱいあるがゆえに司法の判断が覆らないのは、確かにその時代なのかもしれません。

今作はなにより、犯人とされた男を演じた中田顕史郎が、少しばかりの怪しさと飄々とした雰囲気と苦悩を持ち合わせた複雑な人物を造形するのを楽しむ芝居と感じるワタシです。証言する女を演じた堂ノ下沙羅の真っ直ぐさ、その母を演じたかんのひとみの包み込み支える母たる存在。ワタシ的には脇を固めた正義派の弁護士を演じた酒巻誉洋の格好良さ、証言を変える支店長代理を演じた三原一太の軽く見えながらなかなか細やかな造形など頼もしい。

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