【芝居】「未開の議場 2023」萩島商店街青年部
2023.11.5 17:00 [CoRich]
カムヰヤッセンの2014年に初演(ワタシは未見)作、ワタシは2016年の北区民版、2020年のオンライン版は観たみたいなんだけど、多分呑みながら観てて曖昧。120分。千穐楽を観ました。
町内の会議の話しとずっと煮込まれている外国の鍋ばかりが印象に残っていて、例によって物語の細部を忘れがちなワタシです。外国人と地元の日本人との話しだとか、あるいはここに居場所を見つけたNPOの男の空回りは何となく思い出したり。
行政書士も工場の総務職員も不動産もあるいは実習生を受け入れているブローカー的な仕事をする男、外国人が多く住んでいることで経済が回って居るという現実。いっぽうで微妙な差別意識があったり、スーパーやコンビニは被害に遭っていて積極的にはなれない、暴行事件の被害者が身近にいたりという人々がそれでも折り合ったりしていこうとしている中、物静かに居た女が「自分以外の全員が心から仲良くする」という不可能を突きつけたりとダイナミックに会話が「空回り」する絶望感。
終幕、差別意識は残したまま先送りして解散してしまうのは、なんかワタシたちの地続きに感じるけれど、これはこれで折り合っていく過程の話しなんだと思ったりします。北区民版ではおそらく登場していなかったケーブルテレビのスタッフ、トメニア語を流ちょうに操り何か本編のハイライトを喋ってる気もするけれどその談笑はワタシを不穏な気持ちにして、現実に向き合う人々の気持ちを感じさせる巧さ。
役者たちがみな主宰となり、舞台制作のプロセスを動画配信やSNSなどで公開し、「分断」を見つめ直すためのアクセシビリティを徹底し、クラウドファンディングで制作する試みは面白い。劇団ではなくワンショットの座組だから出来る方法という気もするけれど。タブレットを利用した字幕、音声だけで場所役名、置いてある物などをきちんと説明するなどのアクセシビリティは手間がかかるけれど、とても重要なのです。
喫茶店オーナーを演じ開場中に鍋料理を煮ている女を演じたハマカワフミエの料理の手際の良さと終盤の強烈なある種の潔癖さが印象的。ゲームセンターの店長を演じた宮原奨伍の兄貴っぷり、スナックのママを演じた小林春世の「らしさ」、スーパー店長を演じた安藤理樹の人の良さとスーパーに変わった拘泥ぶり、石井舞の生真面目さ、行政書士を演じた木村聡太が担う序盤のヒール感。 ケーブルテレビスタッフを演じたコロブチカの全般に有能な仕切りっぷり、それゆえ終幕、トメニア語で会話をするシーンの不穏さが増す感じ。会話の相手となる会議室管理の職員を演じた渡邉とかげの出番が少ないのはちょっと残念だけれども。
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