【芝居】「地上の骨」アンパサンド
2023.09.09 18:30 [CoRich]
昨今、絶賛を聴くことが多くなった劇団、役者でありながら屈指のシアターゴアーの森下亮が2023年上半期版のイベントで大プッシュしていたのに押されて劇団初見。80分。9月10日まで三鷹市芸術文化センター・星のホール。
オフィスの終業近づく時間帯。電話を受けた女は小さな仕事を抱え込む。それを見ていた男は昼食を取れずにこの時間に自作の弁当を食べている。魚の佃煮を勧めてくるが女はそれを断りたくて小さな嘘をつく。同僚は勧められる魚の佃煮を食べる。
突然、勧めた男の喉から魚の骨が飛び出す。
100%の善意を断るために小さな嘘をついて膨れ上がること、その100%の善意が原因となって大惨事を起こすことを対比しながら、荒唐無稽な不条理をパワフルに押し切って描きます。
人が魚に「変身」していくさまを、服に隠してあった筒状の黒布で全身を包み、人を無かったことにする黒子的なお約束。そこに魚の頭や尻尾をつけたり、小さな魚がついていたりと消えていく様を舞台でパワフルに押し切ります。
正体の分からないスーパーの魚の佃煮をなれなれしく勧めてくる男、それを嫌だと感じるけれど、嫌だと伝えることができない、というこの小さなキッカケこそが本作のピークだと感じるワタシです。そのあとに何人もの同僚がそれぞれの小さなストレスを抱えながら佃煮を違和感なく受け入れ、それが招く大惨事は客席こそ大爆笑なのです。ワタシはといえば五反田団系の役者が多いこと、魚を勧める男を演じた黒田大輔の過剰を楽しむつくりになっていることもあって、五反田団あるいは新年工場見学会のバリエーションが続くように感じて、短編コント集の一編としてぎゅっと濃縮、30分弱ぐらいで見たいなと思ったり。
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